佐山葉月の日記
うかうか一年。地味でぽやんとした趣味の毎日。

2004年09月26日(日) 久々にお題

書いてみました。キリ潤(またか…)てか最近それしか書いてないですねえ。


本当は連休明けだからとっとと寝た方がいいんですけれど、
てか寝ようと思ってたんですけれど、何か書いちゃった(バカ)
明日激しく会社に行きたくない現実逃避ともいう。



更新が滞ってるから何か書かねば、と思って書いた突発ですが、よろしければどうぞ。

配布元:Project SIGN[ef]F
http://plaza22.mbn.or.jp/~SignF/

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034:手を繋ぐ

「潤、お前明日何時から?」
 ベッドの上、布団を被りすっかり寝る姿勢になっていたキリトが、思い出したように顔を出して聞いてきた。携帯をいじり、風呂に入っていた間に届いたメールに返事をしていた潤が隣の鞄から手帳を出す。
「えーと、14時にスタジオってなってる」
「そっか、じゃあ一緒だな。任せた」
「何をだよ」
「え。いろいろ」
 いろいろって貴方!と笑う潤を無視して、布団を被り直したキリトは本格的に寝るつもりらしく、一言「電気」と言って黙り込んだ。はいはい、と一応返事をし、メールを打ち終えた潤が隣に滑り込む。
 垣間見たキリトは眠りに落ちつつあるようで、少し身じろいで向こうを向いた。スペースを少し空けてくれたのだろう、潤はその隙間に身体を落ち着かせると、リモコンのスイッチを押して電気を消した。


 ひとつのベットで、ただ眠る夜が随分と続いている。
 キリトが、求めて来なくなったのはいつだったのか、もう潤にははっきりと思い出せなくなっていた。少なくとも、季節はひとつは越えているだろう。何かがあったというわけでも、二人の関係が変化したというわけでもない。事実、どちらかの家に泊まる頻度に変化はなく、その時は当たり前のようにこうして、一緒に眠る。
 ――ただ、キリトが求めて来なくなった。…それだけ。


 ひどく風が強かった。街路樹も、彼の髪もめちゃくちゃになびいて、それは目も開けていられないほどで、だけど彼はじっと、どこかを、見ていて。
「潤」
 風の強さに目を細める自分に、キリトの声が穏やかに届いた。そういえばこんなに強風なのに、不思議と音がしない。
「潤」
 何、キリト――そう答えようとした時、殊更に大きな風が吹いてよろめいた。瞬間に閉じた目を開けると、彼は風に吹かれたまま微動だにせずそこで、どこかを見ている。
「…潤」
 三たび呼ばれて、返事をしようとしてだけどどうしても彼の名前を呼べないことに気付いた。キリト、そう意識では必死で呼んでいるのに、言葉が喉でひりついてしまったように出ない。
 恐怖を感じた。こちらを向かない彼を呼べない――届けられないことの、恐怖。
 出せない言葉に喘いで、強風にふらつく足を奮い立たせ、必死で前進した。そして、手を伸ばす。

 触れたと思ったとき、彼がもう一度自分を呼んだ。とても穏やかに、………苦しそうに。





「……潤!」
 ぐい、と引っ張られる感覚で潤は目を覚ました。やや上の方からキリトが覗き込んでいるのが、薄暗い部屋でぼんやりと見えた。潤の右手首を彼が掴んでいて、引っ張られたのだと理解する。
「…キリト……?」
「お前、随分うなされてたぞ」
「あー…そう、起こしちゃった?」
 ごめんね、と謝るより先に、だけどキリトはいや、と言い、そのまま潤に覆い被さって抱き締める形になる。
「…キリト?」
「お前さ、何か夢見た?」
「え?…あー…そうだね、何かね…変な夢だったかなあ」
 貴方に届かないという恐怖。それを思い出し、少し薄ら寒くなる。
 誤魔化すように、だからうなされてたんだねきっと、と苦笑混じりに言ってもキリトは離れなかった。抱きつくように潤を抱き締めて、そっと息を吐く。
「俺も見た、……妙な夢」
 お前がさ、沈んでるんだよ。プールだか海だかわかんないけど、水の中に。俺は水面に立ってて、でもお前は沈んでるからどうにか助け出そうと思うんだけど、どうしても、水に入れなくて。
 静かに語られる言葉と裏腹に、抱き締める腕は強さを増した。それを潤は静かに受け止める。
「あんまりにも埒があかないから俺、夢ん中でも切れてさ、ざけんじゃねえ!って怒鳴ったら目が覚めて、――情けないけどさ、お前を真っ先に探しているのに安心とかしちゃって。なのにお前も、うなされてたからさ」
 そこまで話して、キリトは少し身体を起こした。潤を見下ろす姿勢になった、キリトの表情は読めない。潤も表情を作れない。
「お前、どんな夢見てた?…俺を、呼んでた?」
 答えるより先に、手を伸ばして彼に抱きついた。その腕は、微かに震えていたけれども。
「呼びたかったけど、呼べなかった。………けど貴方、呼んでくれてた」

 だから、手を伸ばしたから、…貴方は繋いでくれたんでしょう?





 背中に回された腕から力が抜けたと思った瞬間、ベッドに押し付けられて口づけられた。
 徐々に深いものに変わっていくそれに応えながら探る手を絡められる。この先の行為よりも、それがひどく大きな意味を持つような気がして、不意に目頭が熱くなった。



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いつもながらお題無視というか…
薄暗いキリ潤ですいません。明らかな相思相愛なのに薄暗いのが私のキリ潤…


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佐山葉月 [MAIL]