デイドリーム ビリーバー
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2002年10月02日(水) ダメ人間

私は、ダメ人間だ。本当に、ダメダメダメダメ人間だ。
きっと向いてないんだ。恋愛とか結婚とかそういう
一人の人と、密に関係をつむぎ合うことに。


彼を好きになって、はじめて
愛し愛される、あったかいふつうの幸せを、望んだりもした。
結婚したいとか、定住して、子供を生んで、老いても仲良く、とか。

だけど、私にはやっぱり無理なのかもしれない。向いてないのかもしれない。
私は、本当は、そんなの望んでないのかもしれない。


しばらく音信不通だった男友達から、スカイダイビングに誘われた。
以前なら、絶対飛びついたのに
「事故にあったら彼が悲しむだろう」とか「彼と離れるのいやだ」とか
「男友達を頼って外国に一人で行くなんて、彼はいやだろう」とか
そんなふうに思って、断ってしまった。そんな自分にびっくりした。

人って、大切な人がいると、安定を望むものなの?
大人になるってそういうこと?人を愛するってそういうこと?
わかんないよ。


夜、散歩した。
駅から出てきた大学生らしい男の子が、携帯に
「今、駅着いたんすけど、どっち行ったらいいんすかー?
 え?今っすかー?信号の前の、きれいなおね−サンの隣でーす」
なんて、一緒に信号待ちしていた私に、ニッて笑いながら言うから
思わず、プッって吹き出してしまって
(ちなみに私は決してきれいなおね−サンではないです。)
ふふふー、きれいなおね−サンだってーって
半分からかわれただけって、わかっていても、嬉しかった。

その帰り道、後ろからきた自転車の人に、おしり、ぺろんって触られて
私は別にいいけど(いやよくないけど)これが思春期の傷つきやすい
女の子だったりしたら、どうするつもりなんだ、そうだこれはやっぱり
社会のためにも、なんて思って
道端の空き缶、投げつけてやろうかと思ったのに、その瞬間
「刺されたりしたら彼が悲しむかも」って、これもできなかった。


私は、彼を好きになって、弱くなったのか?
いろんなことに、一人では立ち向かえなくなってるんじゃないのか?
「守られる女」になっちゃってるんじゃないのか?

私がなりたかった自分は、そんなんじゃなかったのに。



彼は怒っていた。
深夜に一人で散歩したこと。男の子に声かけられたこと。
痴漢におしりさわられたこと。空き缶投げつけようとしたこと。
男友達から来いと誘われたこと。誘われるような人間であること。
なんか他にもいっぱい。怒られたっていうより、悲しまれたっていうか。

彼に言われて、
彼が女の人に声をかけられるところを無理矢理想像したら、いやだった。
女友達に誘われて彼がスカイダイビングしに行くのもやっぱりいやだった。
でも、彼がいやがるほどには、いやじゃなかった。
スカイダイビング誘われたら、二人で行こうよって、思った。

彼だって、友達だった頃は
痴漢の足を踏んづけてやった話に「さすが!」って言ってたのに。
旅先のハプニングも、すごく楽しそうにきいてくれてたのに。

恋人になって、なくしてしまったものがある。
それは、私にとってはきっと、とても大切なものだった。

だって私の冒険心をわかってくれる友達は、彼ぐらいだった。
本当に、大切な友達だったんだ。
こんな人は二度と現れないだろうっていうぐらいの。

今も、私のこと、とてもわかってくれる。大切にしてくれる。
だけど、大切に思ってくれるからこそ、心配も増えて

今、彼の前で、私はとっても「女」だし
私の前での彼は、とっても「男」だ。
良くも悪くも。

いっぱいため息つかれた。
なんだか苦しそうだった。あんたは全然わかってない、って言われた。

門限は10時なんだって。門限なんて、一度も言われたことないよ。
夜の散歩もだめなんだって。
人に声かけられても、無視しなくちゃだめなんだって。
安全なところにいなくちゃだめなんだって。彼が守ってくれるんだって。
彼がいないときは、痴漢撃退スプレーとか持ち歩かなくちゃならないんだって。

もう、わけわかんないよ。
私は、安全なところにいるよりも、たたかえる自分になりたかった。

結婚したら、家にいてほしいんだって。
と言っても実際は、私も働くことになるんだけど
本当は、働いてほしくない、心のせまーい(自分で言ってた)男なんだって。



私は、彼の望むような彼女になれそうもない。
いい奥さんになんて、もっとなれない。
優しい人間じゃないし、変なところ頑固で意地っ張りだし。
夜の散歩も大好き。道きかれたりするのも好き。働くのも好き。
旅が好き。冒険が好き。ドキドキすることが好き。

彼は私のどこがいいんだろ。
専業主婦したい人なんていっぱいいる。守られたい人も
きっといっぱいいるじゃない。

だんだんわからなくなってきた。
なんで私がいいの?私でいいの?
私は彼を幸せにできるの?

私じゃなくてもいいんじゃないの?

私じゃない方が、いいんじゃないの?


そして、私は。

一人で生きていける人間なんじゃないの?
孤独も結構好きだったんじゃないの?
結婚とか家庭とか、そういうのうざいって、実は思ってるんじゃないの?

かといって、気ままで奔放なカルメンでもないんだ。
私はいったい、何を望んでるの?

彼が、理想の男じゃないからって、がっかりしてるの?最低。


もーやだ。
わかんない。
逃げたい。

消えちゃいたい。

彼の前から消えてしまいたい。
いなくなってしまいたい。


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