「間違ってます。」
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2009年04月11日(土)
長男との約束
夕食時、五歳の長男がひいばあちゃんと、ひいひいばあちゃんの話をした。
「ひいばあちゃんとひいひいばあちゃんは、お墓の中だよね?」
彼の父方の祖母の母と祖母で、私は面識が無いが、毎年お盆には皆で墓参りをしている。
「そうだね。お参りしたものね」
そう答えると、彼は何を思ったか、
「次は、誰が死んじゃうの?」
と問うてきた。
「それは神様しかわからないよ」
と、私は答えた。
それから彼はまたご飯を口に運びはじめたが、ややして、食べながら涙を流しはじめた。
私は自分が幼かった頃、自分なりに「死」というものを考えているうちに、怖くなって、無言のまま、家事をしていた母の背中にしがみついたことを思い出した。
「死んじゃったら会えなくなるから、寂しいね」
「みんな長生きするといいね」
そんな話をした。
布団に入る前に、彼が言った。
「お母さん、長生きしてね」
「うん。長生きしようね」
私は言った。

私の父が逝ったのが、五十九の時だった。
それでなんとなく、自分もあと二十年くらいかな、なんて思っていた。
図らずも長男としてしまった約束。
それでも約束は約束。がんばって、身体を大事にしないとね。


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