ミドルエイジのビジネスマン
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2012年04月29日(日) 別の方向を見ていなくてはならない

最初の利用契約が完了した。シャチョー、どうするんですか!と揉めた二番目の人も決定だ。さらに、なんと介護関係者のご家族という別の方も、客観情勢から見て、ごく近いうちに利用されることになる。

利用者が来られると、事業所の中に人の住む家だけが持つ暖かい空気が流れる。全然効かないファンヒーターに手をかざしながら職員応募者を待ったあの寒い家に命の息が吹き込まれた。夕方のディスカッションでも居心地を良くするアイデアが次々と打ち出される。本当に良かったなと思う。利用者の方に、幸せになろうねと声をかけたくなる。ただ、事業所の中では「管理者」と呼ばれる施設長が一番偉い。どうもこっちは、ただヘラヘラしている変なおじさんと思われているらしい。そんな奴に、いきなり、幸せになろうねと言われてもキモイの二乗だ。

利用者の状況をめぐる会話をきっかけに、幾人かのケアマネジャーと具体的な話ができるようになったので、チームの中に、次の利用者も紹介して貰えるのではないか、という楽観的な発言が出てくるようになった。

親しくなったケアマネージャーが次々と利用者を紹介してくれるようになるのは理想だが、それは自分本位の幻想だ。なぜなら、そのケアマネジャーは私たちの事業所ができる前も別に困ってはいなかったし、将来について言えば、これからも次々と同様の小さなデイサービスが開業するであろうから、この事業所でなければならない必然性もない。ケアマネさんが担当する要介護者に、たまたま私たちのサービスと合うニーズがあれば声をかけてもらえる。どこかで新たに、困った事になったなという人が出てきたときに、担当するケアマネさんに思い出してもらえるように、あるいは、タイミング良く私たちが「こんにちは」と現れるように、やはり、地道な営業が必要なのだ。

思い出してみよう。契約第一号となった方を担当するケアマネさんのいる居宅介護支援事業所に初めて行ったとき、こんなに早く利用者を紹介してくれるような気配があっただったろうか。「そうですか、新しくできるんですか。頑張ってくださいね、ご苦労様」で終わったのではなかったか。職員がワクワクしながら、こんなイベントをやろう、あんなレクリェーションをしたいと語り合う脇で、私は別の方向を見ていなくてはならない。何の保証もない零細なデイサービスの立ち上げに参画してくれたチームメンバーの期待に応え、彼等自身の生活を守るためにも。


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