| 2003年02月01日(土) |
「亡国のイージス 上,下」 |
「亡国のイージス 上,下」(福井晴敏著,講談社)
内容:海上自衛隊の、イージスシステムを搭載した最新護衛艦「いそかぜ」が北朝鮮の工作員によって占領された。彼らは米軍より強奪した未曾有の生物兵器を盾に世界を揺るがす要求を突き付ける。密かに「いそかぜ」に潜入していた海自の情報部員,「いそかぜ」を家とし守ろうとする先任伍長が彼らの暴走を止めるべく奔走する。
結構決め読み(「ここはこうなるだろう」とアテにする,ならないにしてもそれ以上に好みの展開になる)した部分が外されて、フラストレーションは溜まった。 でもそれはあくまでこちらの都合で「こーゆーのは変でしょう」と言うものではなかったし、全体的に出来は良かったと思う。 読書好きは、まぁ、読んどけ。オヤジ好きも読んでおいて損はなし。
終章で、それまで溜まっていたもやもやが読後には無くなっていたのがびっくり。そんな大したラストでなく、むしろありがちなラストだったのに、多分…、パズルの最後のピースがはめられた途端現れた絵が私の好みだった、ということでしょう。 本当はここに、私はアメリカが大大大嫌いで、嫌いで嫌いで嫌いで、どれだけ、どのように、どうして嫌いかを千行くらい書くつもりだったのに「いーよ、てめーらの事なんか」と言う気になりました。…いえ、嫌いは嫌いで好きになりませんけどね。本当、あの国の国質と言うか国民性と言うか、大っっっっっっ嫌い。あの国を好きと思ったことは生まれてから一度もナシ!個人的に好きなスポーツ選手とかは結構居るんですけどねぇ…。
ホ・ヨンファ。何となく李鴎と重ねあわせて見ていたら違いましたね。全く違うと言うより、「こうこうこういう工作員」と設定のディテールを与えられて、男が書いたらヨンファ,女が書いたら李鴎みたいな。そう思えば高村先生は女なんだなぁ、と再認識。
一つだけ作者の書き方に不満があるのですが、宮津艦長と溝口がそういう関係なら、最初の対面シーンとか、二人の描写の端々に「ひっかけ」があったと思うんです。正体を推測させるのを邪魔する描写が。アレを艦長の演技とすることは出来ると思いますが、私は作者によるトラップの気がしました。読者を欺くトラップと言うのはそういう目的を持った小説では使われて当然だと思うのですが、あくまで真実を知った後も説明の付く範囲でするべきと言うか。神の視点で書いておき乍ら「真実でない事を書いてにだます」手法はいかんと思うのですよ。神の視点からだますなら「真実を書いてだます」でないと。 あれは「正体を勘違いしている者の視点」で、神の目ならああは映らないのでないかと。そこに作者の姑息と言うか失敗と言うか走りすぎが見えた気がして、それが不満でした。
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