「玉人」(宮城谷昌光著,新潮社)
内容:中国モノ歴史小説短編集。
それなりに楽しめますが、短編集の興奮度としては「沈黙の王」の方が上だったなぁ。好みかな?歴史モノと言うより昔語と言う感じでした。宮城谷さんのとっかかりとしてはお勧めしない…と言うより他を勧めます。いえ、相変わらず文は奇麗ですっきりおさまってお上手でしたが。
宮部みゆきが解説でちょっと注目する事書いていたので抜粋。この本がミステリーだと言いきったのは、まぁ、彼女の価値観でしょうから脇に置いておいて。 「良質なミステリーは、謎の答えをひとつしか持っていないような顔をして、実はいくつも隠し持っていて、読んだそのひとのその時の心にいちばんふさわしい解答を、袖からするりと差し出してくれるものです。」 この事はミステリーに限りませんね。「良質な小説は」もしくは「良質な創造物は」と置き換え、「謎」でなくても「美」とか「魅力」とかに読み替えても良いと思います。 一つの小説(なり何なりの創造物)に、多面性というか色々な魅力を持たせようとする時、力の無い勘違いした作者はストーリィやキャラクターを謎で包む、つまり曖昧に描写することで表現しようとするかもしれない。そうするより方法が思い付かないと言うか。 でも違うよね。多面性を出すには丹念に書き込む事ですよ。例えば、何十面にもカットされたクリスタル。丹念に角度や数や諸々を計算して磨き上げて、そうすればそれは見る人がかざす角度により全く違う美しさを見せる。そんな感じ。 ダイヤかもしれないけど異物に埋もれた原石を放り出して、見る人がその美しさを探せってのはそれじゃあ「創作」の意味がないじゃん、てなもので。 1カラットの輝きを持つダイヤ、でもそれはその10倍もの醜い異物におおわれている、それより、丹念に磨かれたガラスの方がよっぽど美しい。…ん?話がずれたな。つまり作家さんには丹念に書いて欲しいと思うってことですよ。
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