たそがれまで
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2005年02月11日(金) カウントダウン




時計をじっと見つめながら
久しぶりに膝の上に乗せた娘の重さを感じた。

あと1分。
あと30秒。

時計の針が午後10時56分を差した時
思わずぎゅっと娘を抱きしめた。

生まれてきてくれてありがとうね。
私のところに来てくれてありがとうね。

2月11日の今日が娘の誕生日

普段ならこんな遅い時間はとっくに寝ているはずなんだけど
ここ1週間、娘は私がうつしたインフルエンザで床に伏せていて
思いがけず母と娘で過ごす時間がたっぷりとあった。
で、今夜も昼寝をし過ぎて眠れなかった娘。

せっかくの誕生日を
布団の中で過ごさせることが可哀想だったけれど
だからこそいろんな話ができて、
娘と夫と私の三人で、誕生のその瞬間をカウントダウンすることができた。


娘が生まれる20分前にやっと病院に到着した話や
あまりにも早い出産に、若い看護師さんに羨ましがられたこと。
せっかちで3週間も早く生まれてきたこと。
娘の誕生を皆が心から喜んでくれたこと。

もう10年も経ったんだ。
あれから10年も経ったんだ。

あの頃、10年後の現在が想像できただろうか。
あの頃、それから7年の苦労を想像できただろうか。

過ぎたからこそ懐かしい出来事も、
もう一度経験したいかと問われれば応えは否。

もう子供たちに悲しい思いはさせたくない。
させちゃいけない。




娘の名前を考えるとき、字画を二つの姓に当ててみた。
元夫の姓と、私の旧姓。
娘が生まれた時点で、悲しい思いをさせることになるだろうと
そんな気がしていた。

娘は生後2ヶ月で『父』という存在を失った。
親の身勝手で人生を振り回されることになった。
それでもいつも明るくて、素直な女の子に育ってくれた。
娘の明るさに救われたことは、一度や二度じゃない。


幼いというのに何度も悲しい別れを経験した娘は、
人一倍優しさが溢れている。
父との別れ
祖母との別れ
そして大好きな祖父母や従姉妹、
仲良しな友達との別れ

だからこそ悲しさを自分の中に溜め込んで
一人で苦しんだこともあっただろう。
何もしてあげられなくてごめんね。
頼りない母でごめんね。

だけど人の痛みを感じることのできるあなたを
母は誇りに思ってます。
(だけどインフルエンザの私を心配するあまり
 何度も寝室を覗いてくれたばっかりに
 せっかくの誕生日を布団で過ごすことになってしまって
 母は心から申し訳なく思ってます)



膝の上にかかるずっしりとした重みを感じて
娘と過ごした10年間が愛しく思った。
あと10年、同じ時間が過ぎればもう巣立っているんだろう。
これからの時間をもっともっと大切にしよう。



誕生日おめでとう
生まれてきてくれてありがとう





東風 |MAILHomePage

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