台所のすみっちょ...風子

 

 

志。 - 2003年07月25日(金)

小さい頃からの私の夢は、画家になることであった。

高校を卒業したら、美大へ行き、そしたら次はパリに

留学し、そして画家になる。

それが、私の描いていた人生のシナリオであった。


先日、銀座に個展を観に行った。

友人のお兄さんのものである。

その絵は写実的で、抽象が好きな私の好む画風ではなかったのだが、

そこに描かれていた沖縄の海たちは、どこか私の故郷新潟のそれにも

似て、一瞬でも私を都会の喧騒から解き放してくれるのだった。


そして夜、旦那が帰ってくるなり、早速この感動を報告。

一通り話した後、口をついて出た言葉は

「あ〜あ、私ももう一度描こうかなぁ〜」であった。


すると、旦那がひと言、

「描きゃいいじゃん」

「え〜、でも十年以上描いてないんだよ〜」と私。

「おまえってさ〜、誰かの個展を見に行くたびに描きたいっていうよなぁ〜
 俺さ〜、前から聞こうと思ってたんだけど、なんで絵をやめたわけ〜?」

「う〜ん、就職しちゃったら働いてお金もらうことの方が楽しくなったから。
 欲しい服とかい〜っぱいあったし。まあ、要は金に目がくらんだってことだ
 ね。」

「へっ?・・・・・・・・・・」

その時、スッパリ言い切った私に彼は驚きを隠せずにいた。

ポカンとだらしなく開けられた口は、

まるで、「そんな俗っぽい理由で・・あっさりと?」とでも言いだげであった。

「え〜、でもでも若かったんだしさ〜、、流行の格好したりとか、
 美味しいもの食べたりとかしたいじゃん、、学生の頃は貧乏で、
 服もヨレヨレで〜、ヨーグルト買うお金もなくてM理に借りたりして、、
 その分さ〜、、いい暮らしさ〜、、、」


深夜1時を過ぎた部屋。

私の言い訳と窓から入ってくる虫の音だけが・・

寂しく・・

響いていた・・。


おしまい。


...




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