遠山の金さん - 2003年04月14日(月) 今日夕方。 バイトを終えた私は、車の値引き交渉をする旦那を手伝うべく、 「お疲れ様のお茶」もそこそこに一人電車に飛び乗った。 彼は「車の値引き交渉には、財布を握っている奥さんが出てゆくのが一番だ!」 というアドバイスを同僚から受けたらしい。 外食がデニーズから120円バーガーになるかならないか、 夕飯のおかずが3品から一品になるかならないかの瀬戸際である。 すっかり葉桜となってしまった桜から、それでもまだ数枚の花びらが、 ハラリハラハラ風に吹かれて落ちてゆく景色などを窓の外に見ると、 私の気分はもう、ディーラーの出した見積もりを裁くという、大事な 「おしらす」を控えている遠山の金さんといった感じであった。 先に最寄りの駅に着いていた旦那と合流し「今日の私のキャラはどんな感じで?」 と自分がどの程度前に出ていいのかを確認しつつ車屋に到着し、 中に入ると4種類ほどのドリンクがオーダーしほうだいで、 「なんて親切なんだ〜」と、中古車しか手にしたことのない私は、 早くも見積もり通りに買ってしまいそうな気持ち。 いよいよ妻まで登場ということで、担当の若手営業マンの他に、 マネージャーなる上司も横に着き、練り直した見積もり書などを見せられるが、 それはやはり、もう少し”お勉強”してもらわねばならないものであった。 「う〜〜ん、、もうちょっと月の払いがこれくらいにならんかのぉ〜」 「そ、それはせっしょうでございます。手前どももこれが精一杯でございます」 「しかぁ〜し、車を持っても生活が月々のローンで追われるようでは、 楽しくないではないか」 「・・ごもっともでございます」 「どうだ一つ、うちも頭金でもう少し頑張るから、そちらももう少し 頑張ってくれんかのぉ〜」 「はぁ〜・・・・」 「そちのところから買いたいのぉ〜」 「ありがとうございます・・・」 「ここをほれ、このくらいに下げて、月々このくらいということで、 チョンチョンとな」 「う〜ん・・・・わかりました!・・・それでやらせていただきとう ございます・・」 「これにて、一件落着!!」 のような会話が交わされ、車の値段はあれやこれや付けてもらった挙げ句、 当初の見積もりよりぐっと下がったのであった。 「それなら!」とそこで買うことを決心し、店の外まで出て見送ってくれた 営業マン達に別れをつげ、線路づたいの道を旦那の引く自転車に合わせて歩く。 あの胸のすくような名裁き、大変満足であった。 春の甘い風が心地よく、私達に吹く。 これから、もっともっといいことがありそうだ。 ふと、家までの20分をこのまま2人で歩いてみるのもいいな、と思った。 「ねえ〜、、家まで2人でのんびり歩こうか・・」 そう静かに言った私に彼が返した答。 「う〜ん・・わり!俺うんこしたい!もうダメって感じ」 「えっ?それって、一刻も早く自転車でダッシュして家に帰りたいってことかよ」 「そう、おまえ電車で帰って」 「・・・・・・・・・・・そ、そんな・・」 彼の表情からは本当に一触即発の状態だということが見て取れた。 サドルにひょいとまたがった彼は、唖然とする私を気にするふうでもなく、、、 「じゃ、じゃっあねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 チャリチャリチャリ・・・・・・・・・・・・・ 残された私に夜は暗すぎる。 こんなとこも行きたい、あんなとこにも行ってみたい・・と 彼と「Enjoy車ライフ」について語りたかったのに。 「うんことか言い出すとは・・・・・・・・」 木が寂しくさわさわ揺れていた。 「あんなに頑張ったのに・・妻というのは割に合わないものよのぉ〜」 金さんはとっても納得ができないのであった。 おしまい。 ...
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