台所のすみっちょ...風子

 

 

最後の砦 - 2003年03月07日(金)

旦那が帰ってくる。

カバンをリビングに置き、5畳の洋室に行って背広を脱ぐ。

パンツ一丁になる。

そんな旦那に「ご飯が先?お風呂が先?」なんて聞いてみる。

風呂はなんか湧かしてない。オーダーを取ってみて「風呂!」と言われたら、

すかさず浴槽を洗い湯を溜める戦法である。


で、今日は「あ〜〜、、食事にしようかな〜」と言ったので、台所に行き、

いそいそと肉を焼く仕度に取り掛かった。

そして、チラチラと揺れるガスの炎をみながら私は呟いた。

「君もずいぶん偉くなったものよのぉ〜〜」と。



私達は社内恋愛。

旦那は私より後輩だ。

彼がその小さな翼を震わせて、社会の中でぴーぴーと泣き始めた時、

私はもうすでにいっぱしの社会人であり、育った翼は大き過ぎ、

まさにモスラばりにばっさんばっさんと羽ばたいていたのである。

彼を名字で呼び捨てにし、機嫌がいいときだけ時々「くん」をつけてみたりして、

叱ったり、用事を言いつけたり、やりたい放題であったのだ。



ご飯を食べ、換気扇の下でタバコを吸った後、彼が私に言った。

「じゃあ!俺うんこしてくるぅ〜〜〜」

こりゃ長期戦だ。トイレから出てくるのはいったい何時になるのやら?

咄嗟にそう思った私は、

「うんこするなら、その前に風呂洗ってよ〜〜」とリクエスト。


「え〜〜、、イヤダよ〜〜タイミング逃しちゃうじゃん」
「いいじゃん!風呂洗ってからにしてよ〜。大丈夫だって!きっと出る!」
 

「・・この家はよ〜・・うんこも好きにしちゃいけないのかよぉ〜〜」
「うんこはしていいけど、その前に今は風呂!風呂洗って!」


私は別に彼に意地悪しているわけではない。

月から金までは会社にべったり、週末は千葉の九十九里にべったりの旦那、

家事へ参加してもらうことによって、彼が”家庭”というものを忘れないように、

と促しているだけなのだ。


「あ〜〜あ・・これで絶対タイミングを逃した・・」

彼はしぶしぶ風呂を洗いに行った。

その背中に向かって私は叫ぶ。


「ちなみに〜、今日の私のはすっごく長いものでしたぁ〜〜!ハハハハ〜」



今、主婦の私が、唯一彼に勝てること。

それは便通。

それが最後の砦。


おしまい。


...




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