すべての道は多摩に通ず。 - 2002年11月05日(火) 連休初日、旦那共々モサモサ起きて時計を見ると、 なんと、早くも午後2時じゃない。 これはいけない!このままではいつものようにダラダラした連休に なってしまうと危機感を抱き、2人で「有意義な連休の過ごし方」について の緊急ミーティングをおこなった。 例えば温泉旅行とか、そんなことが連休に当たってはピッタリなのかも しれないが、何の計画も立ててなかった昼過ぎ2時に起きるような私達に、 そんな資格はないだろう。 で、タバコを2〜3本づつ吸いながら決めたのが 「旦那の運転で行く、秋のウキウキ多摩ツアー」であった。 目的はラーメンと思い出めぐり。(なんじゃそりゃ・・) 調布駅近くの「宝や」と、その近く国領駅にある「熊王」 のラーメンを食べ、新婚時代を過ごした府中の街の「今」をただ車の中から見て、 その発展ぶりと賑わいぶりを”悔しがる”というもの。 レンタカーまで借りて行く程かい!と首を傾げたくなるようなプランなのである。 東京の西、多摩地区は、私が新潟から上京し東京若葉マーク時代から、 旦那の名古屋転勤でそこを離れるまで15年程住んでいた場所。 そう、多摩に愛着を持ってやまない私主導型の ”旦那の意志そっちのけプラン”だ。 土曜日の夜7時にこの町を出発し、脇目も振らず調布の宝やへ到着。 出てきたラーメンは3年ぶりなのであった。 分厚いとろとろしたチャーシューからジュワァ〜と染み出るジューシーな肉汁 の熱さが、今は無味乾燥な町に住む冷え切った私の心にキ〜〜ンと染みる。 そうそう、この味だよ!あまりの旨さに食べ進めてなくなっちゃうのが もったいなく、お持ち帰り用に鍋持ってくりゃ良かったと後悔。 大きな餃子が5個も入った皿をつまみながら、ラーメンをゆっくり味わった後は、 さらに下って府中へ。 車の中からもと住んでいたマンションを見つつ、駅の方に車を進めると、 そこになんと牛角が・・。 しかも、もと住んでいたマンションから徒歩五分、大國魂神社の向かいの”角”。 まさに牛”角”! その光景に愕然とする私。この前、わざわざ電車に乗ってまで行った牛角が、 この街を引っ越さなけりゃ、徒歩で行けたのである。 さらに、駅前には大きなモスバなどができていて、 すっかり私好みの町に生まれ変わっていた。 まわりにモスバもない現在住んでいる町と違って、ここなら最近新発売 された「ごまつくねバーガー」もサラっと試食できるし、何より私の大好きな 「フィッシュバーガー」が好きな時に好きなだけ食べ放題である。 予定通りに”悔しい気持ち”満載で深夜一旦家に帰り、仮眠をとって10時に 再び出発。 国領のラーメンを並んでまでして食い、深大寺の近くのこじゃれたアジアン風味な 家具屋を覗き、学生時代に住んでいた武蔵小金井にまで行った。 多摩を2日間に渡って堪能したものの、どこもかしこも懐かし過ぎて、 なんだかみょーに悲しくなった私は、帰り道、ツアーの名前とは裏腹に すっかり”しみじみ”してしまった。 今すぐ引っ越してでも多摩に帰りたくなってしまったのである。 家に帰る途中のファミレスで、コーヒーをすすりながら、どーしたら戻れるか、 そればかりを考える私。 横でちゅーちゅーとアイスコーヒーを吸い、髪の乱れ具合ばかり気にする旦那に 「こっちに戻って来たいよね〜〜」と話を振ってみるが 「俺はどこでも住めるも〜〜ん」の一点張りで、ちっともお話にならない。 多摩は都心に比べ、緑も多くのんびりして、住むには良いのだが、 引っ越すにはひじょーに困難な場所。 と、いうのも家を借りるにも買うにも値段が張る。 環境バツグンだから当然だ。 「ふぁ〜〜ふふ(笑)ここら辺は人気エリアですからね〜、高いんですよね〜」 この地域で引っ越そうとするたび、何度そのセリフを 不動産屋たちから聞かされたことか。 「今に見ておれ・・そのうち宝くじでも当てて絶対多摩に家を持ってやるぅ〜〜! でも、その時はおまえのとこからは絶対買わないぜ!」 判を押したように異口同音に話す彼らを見て、私はそう心の中で呟いたもんだ。 そして、あれから4年・・宝くじはいっこうに当たる気配もない。 当たり前。 こうなったら、倹約してお金を貯めるしかないのだ。 熱いコーヒーを一口ごくんと飲み、気合いを入れ直す私。 もう、出前や出来合いの総菜ばかりを取ったり買ったりしている場合ではない。 食費を安く!安く!高熱費ならぬ光熱費を削減!削減! 戦いのゴングが今鳴ったのだ。 これからは、大根一本、たまねぎ一つの値段が多摩への道へ通じている! と、考えなければならないだろう。 この計画は私一人では無理、夫婦2人で力を合わせてこそ達成できる。 「旦那にも協力して貰わなければ・・」そう思い、向かいに座る旦那にもひと言。 「これからはさぁ〜、得意先にアポとるにも、受注するのにも気合い入れてお願いします。その一つ一つがお給料アップ!ひいては多摩への道につながりますんで。」 旦那は相変わらず黒目を上に上げ、真ん中からキッチリ分けて、 左右対称にそれぞれ山型に立ち上げた前髪を気にしていた。 まさに、いつ見てもお菓子の”源氏パイヘアー”。 その形が崩れかかっているのではないか、と気になってしょうがないのだ。 「ふぇ〜〜い・・。でも俺はいいよぉ〜、、どこでも住めるもーん」 またもや、ちっともお話にならない。 多摩への道は果てしなく遠いのであった。 おしまい。 ...
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