赤ベコさん - 2002年10月22日(火) 土曜日のこと。とある団体が催した講習会に行った。 招かれた講師が、ある仕事について自分の体験を語るというもの。 私はこういう手の催し物になると、必ず、いや、間違いなく 途中で居眠りをこく女だが、 3000円という料金を払ってまでの出席、寝てしまう訳には いかないのであった。 講師の話がなかなか興味深いもので、私は”眠りの森の美女”に ならずに済んだのだが、 それ以上に私の目を覚まさせたのが、話を聞く他人の様子であった。 特に斜め前に座っていた女性2人には注目せざるおえなかった。 講師の話を聞きながらの頷く回数に凄いものがあったからだ。 普通”頷く行為”とは、話されたことに対して 「そうね〜〜な〜〜〜るほど!」と、 納得や理解した場合の意思表示である。 ところが、2人は講師が全部言い終わるか終わらないかの、 意味も曖昧な段階で、コクリコクコクと激しく頷き、 講師が「エ〜〜、、、ア〜〜、、」と話の合間にいれる音にも コクコクコクコックン。 一秒につき、一回の割合であった。 まか不思議。 いったい、何が分かったというのか? 何を納得したというのか? そして、一時も止む事のないその早い振りはいったい・・? 頭の貧乏揺すりかと思った。 それか、首の骨がないとか? あれだけ、首を柔軟にしとけば、肩こりもないに違いないが、 それにしても、あんなに頭を上げたり下げたりして、 目眩とかは起こらないのか!? コクコクコクコクコクリコクコクコクコクコク〜〜〜〜〜。 コクコクコクコクコクリコクコクコクコクコクコクコク〜〜〜〜〜。 結局、彼女達は2時間の間、頷きっぱなしであった。 さぞ疲れただろう。ごくろうさま。 私は一ヶ月前にも似たような光景を見たことがある。 それは、区の癌検診に行き、乳ガンについて保健婦さんから 説明を受けている時だった。 検査の前に30人ぐらいずつまとめて話を聞くのだが、 近くの席に座っていた同い年ぐらいの女性がいちいちコクコクとやっていのだ。 凄い頷き加減! そう、彼女は何にでも頭を上下させるのであった。 保健婦さんが乳ガンのできやすい位置を説明をするために、 おっぱいの模型を持っただけでも、コクリコクリ。 「じゃぁ〜〜みなさ〜〜ん」と言いかけただけでも、 「え〜え〜、分かりましたとも」というような感じでコクリコクリ。 そして、いつ何時でもコクリコクリ。 例え保健婦さんがゲップをしたとしても、彼女は頷くのであろう。 さて、こういうことが良いのか悪いのかは、 どうでもいいっちゃ〜どーでもいい話。 だが、あんまり、頻繁なのはど〜〜だろ〜か?とも思う。 話し手に熱心さが伝わると言うよりは、落ち着きがないみたいだし、 理解してるというよりは、ちゃんと聞いて無いようにも見える。 ”頷き”が本来持つ意味も薄れてしまうことにはならないか!? そのように、絶え間なく頷いている人々を 私は”赤ベコさん”と、心の中でひっそり呼んでいる。 せわしない首振りが、福島の民芸品である赤ベコにそっくりだから。 人と人の繋がりが薄れて来てる時代。 メールで用が足りる時代。 そして、コミュニケーションの下手な人が多いと言われるこの時代。 会った時には、少しでも相手を理解していると見せたくて、 ああして首を多く振ってしまうのか!? 赤ベコさんはこれからもどんどん増えるに違いない。 そのうち一億総赤ベコ状態になってしまうかも。 おしまい。 ...
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