台所のすみっちょ...風子

 

 

鼻毛! - 2002年10月02日(水)

ちょっと前、タコスソースを近くのスーパーに買いに行った時の

ことであった。

一通り店の中を見回して首をかしげる。

「ハテ?前にこの店でタコスソースを見かけたような気がするが・・・?」

私は歩くことが嫌い。

これ以上ぐるぐる店の中を歩き回るのもイヤなので

商品棚に品物を追加していたひょろりとした男性店員に声をかけてみた。

かがみながら黙々と商品を棚に並べていくその手際の良さに感心

しつつ、後ろから声をかける。

「すいませ〜〜ん、タコスソースってどこにありますぅ〜?」

すると「ハァ〜イ?」と手を止め、

私の方へと体をゆっくりと起こす彼。


その途端、私は絶句した。

彼のその顔には、想像を絶する物が生えていたのだ。


すごい鼻毛・・。



そんじょそこらの鼻毛ではない。

形も本数も度肝を抜くものであった。

一本や2本なら、まあ、うっかり伸びちゃったのねとも

言えるが、その量がすさまじい。

しかも左だけ。

鼻の穴をスタート地点として、黒々といっせいに出ている

様は、まるで罰ゲームの落書き。

または、かとちゃんペッ。

しかも、ジェルやクリームを使って指で

なで付けたかのように、唇の方へ行くに従い、

細く整えられている。

その形はまったく魔法使いのほうきなのであった。

いくらお洒落な男でも、鼻毛にジェルやクリームを塗るヤツはいない。

すると、その代わりに毛をまとめられるものと言ったら、鼻水か・・・。

そいえば、テカテカしている。

疑問は膨らむばかりで、もうタコスソースなど、どうだっていい

ぐらいな気持ちだ。


食料を扱うべき店の店員に大量のテカテカ鼻毛。

大変なマイナス要因である。

そんな鼻毛マンがいる店の食材を使った料理を、

みんな食卓に並べたいか?

ある意味、野菜等の産地を表示したりすることより

重要な問題かもしんない。

私はいいが、他の客のためにも切った方がいい。


誰も注意しないのか?



「鼻毛が見えてて良いのは、世の中ではバカボンのパパぐらいだ」と

常日頃、私は思っている。

彼にとってそれは欠かせないもので、無かったらぜんぜんキャラとして

成立しない。

だから、バカボンのパパは許すが、生身の人間はど〜だろ?

しかも、客商売。客をこんなにも驚かせるだなんてど〜だろう?


「こちらでございます・・」と案内に従って、彼の後をトコトコ

付いて歩く私。

後ろにいる私が彼の鼻毛について、

あーだこーだと思いを巡らしているなんて

気づきもしなかったに違いない。

で、「これですよね?」と紹介されたのは、

タイ料理に使うなんちゃらかんちゃらという辛いソースの瓶。

これはタイ。

タコスはメキシコ。

ただの辛さ繋がり。

「あ〜、これ違うんですけど・・」

「あっ、違うんですかぁ〜」と彼

「いや、メキシコの・・・。」と私

会話をすると言うことは、彼の顔を見ながら話しをしなければ

いけないということを意味する。

鼻毛は相変わらず、である。

これ以上、タコスソースがどんなものなのか彼に説明をしていては、

失礼にも吹きだして笑ってしまいそうだ。


ここらへんには、そのスーパーしか食料を買う店はない。

競合店が無く、値段もそんなに安くないので、ついつい隣り

駅まで行ってしまっていた私だが、

こんな珍しい人が見れるなら、これからはちょくちょく顔を

出してもいいな、と思いつつその店を後にしたのであった。


         おしまい。


...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail