台所のすみっちょ...風子

 

 

R君の呟き・・。 - 2002年09月26日(木)

昨日友人が名古屋から私の大好物のきしめんと佃煮、

そして自分の子供であるR君と供にやって来た。

彼女の実家はこっちだが、6年ぐらい前から旦那さんの仕事の関係で

名古屋に住んでいる。

土産のきしめんと、佃煮、それに同級生だった友人が経営しているという

お菓子の詰め合わせまでもらっちゃって、口元が軟体動物みたいに

ぐにゃりんとほころぶ。


R君は3才の男の子。

男と言えば普段ごっついゴジラ顔に、人前はばからず

ブオ〜ンとスカンク並みのオナラをしたりする旦那としか接していないので、

マシュマロほっぺとクリクリした瞳を持ったR君の汚れのない

姿になんとも心が洗われるのであった。

きしめん、佃煮、ケーキはとってもうれしかったのだが、

R君と遊べることが私にとって、やはり一番の土産なのであった。


で、そんな良いものばかりをいただいて、彼女らを迎え撃つ私の

方はといえば、これが相変わらずで、ズバリ、出前攻撃。

お昼に来ることが分かってて、出前。

前々日の電話で「なんにも用意できないけど・・」

と言っていたものの、こんな時だけ予告通り。

やけに一本筋が通っていてそんな風でいいのか、私!


反省している間もなく、早速、20枚ほどため込んでいた

デリバリーのチラシをテーブルに広げ、検討に入る。

お腹が以上に空いていたので、茶を出すのが先か、チラシを出すのが

先か、ぐらいの勢いであった。

色とりどりのチラシがばらまかれたさまは、とても専業主婦をなにわいに

している女の家とは思えん。

散々考えて、結局R君も食べられるようにとワンディッシュにハンバーグ

やら、ポテトやら、コーン、パスタが一緒にてんこ盛りになったゴージャス

なヤツにする。

そこの店はハンバーグがウリらしく、種類も7つぐらいあって、

もうハンバーグのパイオニアとしか言いようがない。


注文の電話をすると出たのはやけに明るい愛想のいい中年女性。

お目当てのヤツを頼むと、いきなり「ちょっと待ってください」

と数秒間待たされる。

すると、今ハンバーグの個数が少ないので、限られた3種類のメニュー

から選んでください。と言う。

まったく、不可思議な返答であった。

7種類ほどあるベースのハンバーグはどれも一緒に見えるからである。

敢えて言うなら、ソースがイタリアンと和風の違いだとか、

目玉焼きが乗ってるの乗らないのだとか、付け合わせが違うとか

ぐらいの差でしかないように見受けられる。

だから「足りないのでお作りできません」なら分かるが、

「メニューが限られます」は納得できない。

もしかして、素人には分からない秘密が個々にあるとか。

例えば、和風ハンバーグ用の物にはコラーゲン。

イタリアンハンバーグ用のヤツにはローヤルゼリーが含まれてい

るとか・・。

そうかもしれない、それなら許す。

で、頼み直すとまた待たされ、オーブンが壊れてしまっているので、

ハンバーグ等の焼き物は出来ませんとキッパリ。

信じられない。ハンバーグがウリなのに。

というか、それで良く毎日営業できるな。

それじゃあ、家事をしない開店休業主婦の私と一緒で、あまりに驚いた

ので「いつ頃直るんですか?」なんて、ムっとしなければならない

ところを、つい聞いてしまい、向こうも向こうで

「今月いっぱいかかります」と意味不明な会話がなされる始末。

スムーズに注文が進まなかった挙げ句、結局、見た目には数段落ちる

スパゲッティーとスパイシーポテトで腹をごまかすことにしたのであった。


そして待つこと40分。

ようやく食い物がやってきた。

配達人は、20才ぐらい可愛い顔した男の子。

こいつもやけに明るい。

店のダメさ加減に文句の一つでもかましたいところだったが、

私の物言いに危機感を抱いてる旦那から

「おまえ、いつかそんな風だと刺されるぞ」

と常日頃アドバイスを受けていることもあり、

今回は黙ったままピザ屋が入れてくるような四角く平べったい

ビニールの入れ物から頼んだ物を出す彼の手をじっと

見守ることにする。

スパゲッティーを出し〜〜

付いているというサラダを出し〜〜〜

紙おしぼりを出し〜〜

フォ−クを出し〜〜したところで彼の手が止まった。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

2人の間に沈黙が流れること数秒。

そしてそのにいちゃんが一言。

「スパイシーポテト忘れました。」

「・・・・・・・・・・・・・」

彼はニコニコしながら、取りに帰って10分で持って来る

と言う。

こんな腹ぺこなのに待ってられるか!

注文時からの店の対応に怒りは沸点寸前である。

これは責任とって貰わねば!

「ポテトはキャンセルします」

そう、もし作っていて忘れただけなら少ない金額でも、店の損は損。

赤伝票を切るがいい!

かっこよく断って、このくらいの抵抗は当然だ!と自分の処理に

満足していた私。

だが、いざテーブルの上にのっぺりとしたスパゲッティー達

を置くとなんともわびしい食卓。

そして、それを見て、R君が一言。

「ポテトは・・・・・・。」

寂しそうなのであった。私も食べたかったが彼も食べたかったのだ。

そんな可愛らしい顔で言われると、おばさんはなんとも辛い。

その言葉を聞き、私は心に誓った。

今度来るときは絶対手料理にしようと。


いや、もう心で思っているだけではダメなのだ。

宣言しとかないと!

だって、この前も彼女が来た時は出前だったのだから。

ホント!すまん!ごめんなさい!


           おしまい。


...




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