今日もガサゴソ
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散歩の時によく会うのだけれど うちのキルト君と 徹頭徹尾、気の合わないワンコがいます。
たとえば柴犬のテツ君。 それはそれは風格のある犬で 少し太り気味なので貫禄もあって 綱でも締めたら大関くらいは楽勝でいけそう。
テツ君は子犬の時に キルト君の恋人ラブちゃんとうんと遊んだそうです。 六歳過ぎた今でも テツ君はラブちゃんを見かけると ふにゃ〜んと情けない声を出します。 ラブちゃんは子犬にしか興味がないので マイペースなのが笑えるし テツ君のママがおやつをくれるかも知れないというほうが 重大なモンダイらしい。
キルト君はラブちゃんのお相手、ということで この団地にやってきているので それはもう運命の恋人という他はなく 来る日も来る日もラブちゃん命。
そういうわけで テツ君とキルト君はライバルなわけです。 散歩で行き会ったら百年目、 もの凄い形相で歯をむき出しにして吠え狂います。 飼い主同士はにこやかに 挨拶をしてにこやかに別方向に進路を変更するのでありました。
ある時、 公園の池のほとりでテツ君と行き会いました。 テツ君のお父さんは 「ここらで一丁、吠え比べさせてみませんか」と 持ちかけてきました。 乱闘覚悟でしたが、まぁ、どういうことになるのか 私も好奇心がわいてきて お互いの犬の首根っこをつかまえて 吠え比べを始めました。
お互い鼻をつき合わせて吠える吠える、 でも、全身緊張感にふるえながらも襲いかかるといった 気配が無くて、 私たちは首根っこを押さえるのをやめました。
するとジリジリとテツ君が押してくるんですよ。 キルト君は頭が下がってきて ジリジリ下がる。 ワイワイ吠えながらもなんだか負けているのね。 右に左に飛び跳ねても結局は押されっぱなし。 とうとうキルト君は私の後ろの方に下がって 吠え始めました。 するとテツ君、しゃがんでいた私の膝にちょんと右足をのせて 私の口元にチューをするではありませんか。 ハハハ
これで勝負がついたわけです。
テツ君は威厳たっぷりに四つ足で踏ん張って横綱ポーズ。 飼い主様はご満悦。
このあとのキルト君です。 見物でした。 地面に這いつくばって転がって のたくるようにテツ君のそばににじり寄って 上目遣いに 「あそぼうよぉあそぼうよぉ〜」と 甘えた声でわめき立てるのです。 カッコワリィ〜。
テツ君は勝負がついたのにこの上なんなんだ、といった風情。 キルト君はのたくり続けて あそぼうあそぼうとヘンな声を出している。
以来、散歩で行き会っても テツ君はそれほど吠えなくなりました。 相手にするのもアホらしい、と思ったんでしょうねぇ。
キルト君はテツ君を発見すると 遊んでもらいたくなるのか 必至で近寄ろうとぐいぐい引っ張り出します。 ラブちゃんと一緒の時だけ テツ君はそばに来て ラブちゃんに挨拶します。
みっともないキルト君の騒ぎだけがこだまする〜。
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