このあたりには 蛍を保護する地域があり 蛍の生育場所なので 川を綺麗にしましょう というたて看板が見られます
朝方 うとうととしながら寝返りを打つと ふぅーっと何かが天井あたりを通りました ・・・えっ・・・見てはいけないものが見えたかな・・・ 体が固まります 目を凝らして暗闇を見つめても 何も見えません 気のせいか・・・幻覚まで見えちゃうか・・・ と ふぅー うっ・・・何か・・・いる 真っ暗な天井を凝視します ふわぁー なになになに?人魂か?妖精か?地球外生命体か? いえいえ 蛍です 「ちょっとちょっと みてみて 蛍がいるよ」 娘を起こします 『ああああああああああああああああああっ! 蛍だぁ お母さん 蛍だよ!!』 だから・・・お母さんが見たから起こしたのに 天井をふぅわふぅわと蛍が一匹飛んでいるのです 確かに家の前には用水路があり 地元の人たちで きれいにして 大切にしています でも 蛍が出るほどの環境ではなく ありえないと思っていました でも・・・いたのです 蛍が
下の娘も叩き起こされて 蛍がいることを教えます 『蛍だ蛍だ 蛍が飛んでる でも蛍さ 朝になると死んじゃうんだよね』 「そうだね 大切な時間だね ねえね 外に逃がそうよ」 お姉さんの出番です そうっと捕まえるにも 蛍も必死で逃げますから なかなか捕まりません 時々強く光りながら いやいや・・・と逃げます そのうち娘の手の中に納まり 手の中で光ります 『わぁ みてぇ 蛍だぁ』 「さぁさぁ 弱らないうちに逃がそうよ」
暗がりの中窓を開けて 娘が手のひらを開きます なかなか逃げない蛍 娘の指先まで歩いていき 指先まで来ると 羽根を広げて飛び立ちました 起こされても誰も文句を言わず 蛍の光を楽しみました 部屋の電気は終始つけませんでした もう1度お布団に入ったときには 空が明るくなり始めて 綺麗な藍色が広がっていました
儚い初夏の贈り物です
蛍
自らの灯りに酔いしれて
暗黒の中を踊っているうちに
迷い込んでしまった
仲間の灯りを探すより
自分が光って飛んでいることが
嬉しくて・・・嬉しくて・・・
時間も場所も わからなくなる
お日様はたくさんの魂の光を吸い寄せて
特別な朝の光を放ちながら
一日の始まりを彩る
集めた命の光を
無駄にすることのないように
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