職場に入ってまずすることは 担当の女性の記述はあるか日誌を見ることです ゛おむつに多量の出血があり・・・・゛ えっ? 夕べ下血があったのか・・・ 近くにいたヘルパーに様子を聞きました 「出血があるから動かさないほうがいいのかもしれないわねぇ」 どうやらこの方パートさんのようです 『わかりました 看護婦さんに対応を聞いてきましょうね』 ということで 看護婦の元に走ります この看護婦さんは 私が特別養護で仕事をしていたときに そこで看護婦をしていた人なので 良いも悪いもお互いに知っている仲です 『どうでしょうね・・・今日はどう対応すれば良いです?』 「11時から受診に行くからいつもどおりでいいですよ」 『車椅子に乗せても大丈夫ですか?』 「うん だいじょうぶ」 『時間的にはどうです?10時からでは長くなりませんか?』 「それは大丈夫」 『わかりました いつもどおりということで』 「お願いしまーす」 居室には何もなかったように入って行きます 元気たっぷりで声をかけます 元気に答えてくれます 腹痛の訴えがあると日誌に書いてあったので どうだろうかと聞いてみましたが 痛みはないといいます 私に気を使っているのでしょうか・・・ とにかくゆっくりと座位 車椅子への移動をします いつもどおりに・・・ 歯磨きをし・・・といっても自分の歯は四本です そして入れ歯を入れて 髪をとかし 綺麗にしためがねをかけます 通院するのだから少し首の辺りが寒いかと 薄手のスカーフを見つけてまきます コーヒーでも入れましょうかとロビーへ誘い ベランダで日に当たります 訓練室へ行き いつものように絵本を読み 終わる頃 看護婦が迎えにきました 「おむつ替えたかしら」 『私が来る前ですから 一時間になりますか・・・ 替えましょうか?』 「ありがとうこちらでしますよ」 『はーい』 看護婦がヘルパーに頼んだようですが ヘルパーは替えようとしません 『あ・・・わたししますよ お昼の準備で忙しそうですし』 と いうことで 看護婦立会いの元でおむつチェックです おむつが汚れているかどうか開くだけ開いてみますと 出血していました 血尿じゃない・・・ これ・・・出血だ・・・ 嫌な予感が走りました 見ていた看護婦が 「あ・・このくらいならいいや 先生にも見てもらえるしね」 『ですね・・・じゃあ閉めます・・・』 私が来る前の交換時には 尿パット一面出血していたそうです ゛あら 私はこれからどこへ行くの?゛ 『たまにはよーく先生に看ていただかないとね』 ゛あーぁ そうだわね 行ってきましょうか゛ 『はい いってらっしゃい』 ・・・帰ってこられるでしょうか 心配です
帰り際に 主任がもう一度電話番号聞かせて と 私の電話番号を聞きました 「もし 入院ということになったら お休みしていただくことになります その時はご連絡しますから」 『はい・・・そうですね わかりました』
93才・・・ 頑張って元気になれる年でもなくて 予想できる事態です 今のところ電話は来ません 帰ってきたのかな・・・ 入院かな・・・ 娘さんたち 心配していることだろうな・・・ 少しずつ・・・私にも覚悟が必要になってきました もし明日も会えたなら 一分一秒を充実できるように過ごしたい そんな思いで胸がいっぱいになります
命
蝋燭の灯のように
しずかにしずかに
命を灯す
全ての蝋を灯しきり
そっと眠るように消える
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