突然の電話・・・ 友人から懐石料理のコンクールを見に行こう というもの お昼ごはんのトーストを片手に ほんの少しだけ戸惑った・・・ でもわずかなこと トーストにラップをして大慌て コンクールだから食べられないのは誠に残念 でも見たい!!
私の住む町は 隣に温泉宿場町があり 旅館やホテルが数え切れないほど立ち並ぶ 友人のご主人もその中のホテルの板前さん コンクールに出品しているのは御同僚だったが・・・ 数多くの宿泊施設や結婚式場から選ばれた板前さんが 腕を競うということだから こんな機会はそうそう無いと思った コンクールが行われるホテルには 仲間の出展を見に来る人や 私のように眺めに来た人だろうか 大勢の人がたくさんの料理をめぐって 集まってきていた
出品されているお料理は 秋をテーマにしたもの・・・ 豊かな秋だけに 食材も多く イメージも膨らむようだ おそらくコンクールが終われば 捨ててしまうであろう物 見たこともない大きな栗や銀杏 松茸や海老・・・ 捨ててしまうんだろうなぁ・・・ 時間が経ち 表面は乾ききっていても 惜しい食材ばかりだ
ウズラを橙に染めて「柿」に見立てたもの 何かに松の実をつんつんと突き刺し 表面に焦げ目をつけた「まつぼっくり」 海老で作った「花車」 ざくろを散らしたお刺身の盛り合わせ 菊の花のお吸い物 丸く焼いた玉子焼きに 海苔をウサギにかたどって真ん中に飾ったお月見卵 松の実の入った味噌の 里芋味噌田楽 真っ赤なもみじの天ぷら ざくろ酒 山桃ゼリー寄せ 無数の桜海老でできているボタン菊・・・ どれもおいしそうでどれも見た目に美しいものばかり すごい発想だなぁ・・・ 1人で「ほぉ〜」と ため息をついてしまう むかご あげび いちじく 大栗 菊・・・ 食材を集めるだけでも大変そう・・ 友人のご主人がおっしゃるには 「築地から業者が入るから 食材には困らない」 らしい・・・ そんな食材を常に目にしながら 毎日おいしいものを作り出すお仕事かぁ ・・・大変なことだと つくづく感じる
どれも板前さんの職人気質を感じる 繊細さと 優雅さ 遊び心 おもてなし お客さんが食べてしまえば消えてしまうものたち・・・ 「とてもおいしかった 忘れられない また食べたい」 そんな舌鼓を聞き 感動を与えて どう 心に残していくかが 勝負なのだろう それがまた お客さんの足を運ぶことに繋がるのだから・・・ 旅館に泊まり お楽しみのお料理を食べ 温泉につかる・・・ はぁ〜 いいなぁ そのお料理がここにある あるのに・・・ここに・・
誰が一番だろう・・・ 誰であっても 甲乙つけがたいものばかりだから 順位は関係なさそうだ と 素人目には映る・・・
食べる
目でいただく 美しい色と形
耳でいただく 温める音 焼く音 涼しげな音
鼻でいただく 素材の持つ香りと 調理した香り
口でいただく 味わい 舌触り 温度
「食べる」ということは
こんなにも楽しめる
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