友人宅へ出かける
文書の作成をしたいとのこと・・・ ところが上手くいかないらしい
だからといって私がこなせるわけではないが 一人より二人・・・ その程度の助けにはなれそうだ・・・ 私が持って行った バザーのポスターを 少し手伝ってもらい 彼女の抱えている文書を仕上げた
夕食が交換条件・・・ 片付け物も終えて帰ろうとすると 「絵をみせたい」 と 箪笥の間から ごそごそと大きな薄い箱を持ち出す 長さが1メートルほどもあるもの かなり大きい・・・
箱からだすと オレンジ色の袋に入っていて その場が美術館の保管庫のような雰囲気になる 縦長ではなく 横長に見る
中から出されたものは 石版画 石・・・とは 大理石のこと
あの有名な アルフォンス・ミュシャのもの・・・・
月のかかった森をバックに 世にも美しい女性が 布一枚体に巻きつけて 横たわっているもの そのバランスの良さと 構図の素晴らしさと なんとも引き込まれるような魅力に しばらく言葉を失ってしまった なんて美しい版画だろう 全体的に ワインレッドとブラウンの混ざり合ったような色合い 落ち着いたカラー 丁度いい大きさ 言うことが無い
いったい いくらしたのかと尋ねた 70万だそうだ 300枚の中の11枚目 思いがけない場所での 思いがけなかった版画との出逢い 帰ろうと支度をしていたことを忘れ その場から離れられなくなった いくら見ていても 飽きない また見せてもらいたい・・・ 一度では満足できない思い 憧れ 約束しないことには しまう気になれなかった 見てあげないと その価値が生きてこないような その作品に対する なんとも不思議な感情がこみ上げた
美しい・・・ 帰宅した今もなお あの版画を思うと ドキドキしてくる
美
整った顔立ち
柔らかな曲線
穏やかな風すら想像させる木々
意味を深いものにする 月
少しの無駄も無く
足りないものも無い
完璧という 美しさ
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