三楽の仕事日記
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2009年09月05日(土) 和田中の学校改革

 「杉並区立和田中の学校改革」(苅谷剛彦他著、岩波ブックレット)を読む。和田中は藤原和博氏が校長を務めていた学校。「よのなか科」「ドテラ(土曜日寺子屋)」「夜スペ」「地域本部」などの取組で全国的に有名となった学校だ。教育社会学者の苅谷さんらが藤原校長就任の2003年から3年間かけて、和田中の学校改革について調査研究をした記録だ。

 和田中の学校改革の特徴は、学校外の様々な資源を活用して、生徒たちの経験の幅と多様性を拡大したことにある。上記に示した取組は、すべて藤原氏のそれまでのネットワークによる外側の資源や力を利用した取組だといってもよい。苅谷さんはこうした外部資源の活用が、教師集団の再活性化につながったかどうかを問題としている。
 
 スクールエスノグラフィーと呼ばれる参与観察を中心とした調査方法と、学力調査を含む質問紙調査の結果から和田中の学校改革が検証されているのだが、僕は教師集団の再活性化までには至らなかったと読み取れた。藤原氏は、教師をこれ以上忙しくしてはならないと考え、さらには自分と教員との距離がこれ以上離れないようにするために、校長と外部による学校改革に重点を置くことが得策と考えたのではないだろうか。民間校長ゆえ、内部からの学校改革には無理を感じたのではないだろうか。

 このブックレットで新たに知ったことは、杉並区教委の考え方だ。民間校長を登用した経緯、その目的などが調査によって明らかにされている。藤原氏が退職した今、どういう動きがされているかも興味深い。現教育長は次のように語っている。

 「和田中方式をそのまま横にスライドさせるんじゃなくて、一度(区教委に)吸い上げて具体的な行政施策として下ろしてやるという方法でいい。(・・・)学校の校長の体質を逆に使えば、(・・・)お上には文句を言わないという体制が残ってますから。実はそれは私も全部壊したいと思うんですけども、だったら吸い上げて下ろすという方式で。」

 藤原氏が去った今こそ、杉並区の学校全体を含め、その後に注目すべきだと思うのは僕だけではないと思う。いずれ発信されることを期待したい。


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