...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年06月18日(水)

「兼松さん・・・?」
腕を抑えていた男がそいつに向かって問う。
「兼松さん・・・コイツ、ヤるの?」
オイオイやめろよお前ホモか?気持ちわりーからよせよ!と
後ろから野次が飛んできたのも気にせずに
兼松は気持ち悪いニヤけ笑いを近づけながら
僕の目の前で臭い息を吐いた。

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「兄ちゃん・・・やっぱり行くの?」
荷物を整理していると、部屋のドアが開いて瑤子が覗いた。
「あと少しで卒業だったんだけどね。仕方ないな」
はぁ、と僕が溜息をつくと瑤子は済まなそうな顔をした。
瑤子が悪いわけじゃないのに、彼女は自分が逃げたせいだと思っている。

兼松が僕に手をかけようとしたその時
学校の先生達が駆けつけてきた。
逃げた瑤子が急いで先生を連れてきたのだ。
あわやという所で僕は助かった。
下半身素っ裸で、衣服を手繰り寄せながら座り込んでしまった。
後はほとんど放心状態で、先生たちから説明を求められたが
ちゃんと相手に理解出来る様に話せたかは自信が無い。

もちろん瑤子をさらい乱暴を働いた奴らはそれなりの処分を食らったが
なぜか、僕にも暫く学校を休むようにと学校から言い渡された。
初めての恐怖に塞ぎ込んでいるのを両親はひどく心配し、
後たった数ヶ月で卒業だったのだが、転校を強く勧められた。
と同時に、乱暴な奴らと顔を会わせる事が無いようにと
母の親戚がやっている少し離れた街の下宿に住む事になった。
そこなら奴らが場所をかぎつける事も無いし
学区が違うので再び同じ高校に進学することも無い。
その親戚が保護者という事で、僕一人住民票を移す事になった。



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