...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年03月01日(土)

「外に出てみよう」

瑤子のその言葉を、僕は待っていたのだ。
「ええー・・・?」
と困った顔を作って見せたが、口元が笑っているのが
自分でも良く分かる。
本当はそうしたいと思っている。

人間、秘密を持てばその秘密を周りに知らしめたいという
欲求も同時に存在するという。
僕が少女の格好をして外に出たくなるのも当然だったのだろう。

深くは考えなかった。
ただ外に出てみたかった。
男の姿では毎日外に出てはいるが
「少女の僕」は常に幽閉された人間と同じだ。
その気になればドアの外に広がる世界に飛び出していける。
「その気」が中々持てなかっただけだ。

女装という行為が世間的に常識に反する事だとは分かっている。
だから僕は心の中で色々言い訳をしながら
自分の正当性を脳内で主張していた。

気持ちは決まっている。

さぁ、外へ。



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