...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年02月10日(月)

家族は僕に優しかった。
継母だから僕を苛めるとか、余計に気を使うという事も一切無かった。
普段はとても優しく、同時に厳しくしつけられた。
それは今でも同じ事だ。
義母も妹達も正直で善良な人たちだった。
妹達は素直で可愛い。

実の母が働いていたせいなのか、面倒を嫌う人だったのか
家事をあまり好んでやらない人だったので
この一般的な平和な家庭がとても珍しい物に思えた。
朝起きると白いご飯が並んでいる毎日。
中学に上がってからは妹達と一緒に、進んで仕度を手伝った。
楽しい。
そう思った。
ただ、「ママと呼んでね」という義母の言葉には従えなかった。
実の母親をそう呼んでいた事を思い出すのだ。
義母の事を母と認めたくないわけじゃない。
深く実母を憎んでいるわけではなかったが
やはり心の中では「あんな女と義母を同じ呼び方で呼ぶのは嫌だ」
という気持ちがあったからだ。
そうする事で、僕は僕なりに義母に敬意を示したつもりだった。


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ある夜、両親が居間でくつろいでいた。
僕は勉強を終えてコーヒーでも入れようと居間に入ろうとしていた。
ドアノブに手を掛けた時に父の声がした。


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