...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年02月02日(日)

母の事を考えていると、炊飯器の炊き上がりの合図である
ピーピーという音が聞こえた。
そこに近寄ると、温かいご飯の匂いがして
僕の気持ちも少し温まった気がした。
大急ぎで茶碗をヘラを持って来る。
そして空き過ぎたお腹を抱えて炊飯器のふたを開けると・・・

そこにあったのは
ネバネバのおかゆの様になった、
僕のイメージしたふわふわのご飯とは似ても似つかない物が
そこに大量にあった。


炊飯器のふたを握り締めながら、涙があふれた。

「う、うっく・・・うぅ・・・」

そのまま僕は茶碗を持って泣き出した。
声をあげて小さな子供のように大泣きした。
こんなに惨めな気持ちになったのはそれが初めてに思えた。
連絡も無しに帰って来ない母親にも腹が立ったし
そんな時に自分がどれだけ役立たずかという事にも腹が立った。

胃はキリキリ痛んではいたが
急に何も食べる気がしなくなった僕は
泣きながらソファーの上で丸くなり、
いつまでもTシャツの短い袖で何度も涙をぬぐっていた。


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