全てフィクションです 【父との秘密】やだよ - 2002年08月04日(日)この人たちに話せって言うの? なんでこんな知らない人に話さなくちゃいけないの 「や、やだよ、帰る。あたし帰る」 こんなわけの分からない人たちに自分が今まで必死で隠してきたことを どうして言わなければならないのか。 あたしはうんざりしてこんな場所から逃げ出そうとした。 2、3歩あとずさって「それじゃ」と言いクルッと門の方を向くと 彼女たちのうちふわふわと髪の長い方があたしに声をかけた。 「私も同じだった。最初は怖かったなぁ」 同じって何が? 「誰かに聞いてもらいたかった。楽になりたくて、ここに来たの」 何の話を? 「私は・・・湯たんぽだったのよ」 彼女の言ってる意味が分からなかった。 湯たんぽ?なにそれ。 どういう意味なのよ。バカにしてるの? 訝しい顔で彼女を見ていると、彼もあたしの背中に手をあてて引きとめた。 「まずは、彼女の話を聞いてみたらいいんじゃないかな」 3人の真剣な目に、あたしもなんだかほだされて ふうっと一息ついて「分かった」とぼそっと言った。 -
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