大伯父が亡くなった。
84歳。 まぁ大往生と言ってもいいのかもしれない。
でもその死に方が私は気に入らない。
大伯父は、若いころに1度離婚し、 その後再婚した妻とずっと2人で暮らしてきた。 別れた妻の元には、娘が1人。
離婚に際し、何があったのか知らないが、 娘の側には感情的なしこりが残ったようで、 親戚が集まる折にはその不和が目につくことも多かった。
大伯父の現妻(大伯母)は、元々気性の激しい人ではあったのだけれど、 ここ数年特にその言動は抑制を欠いたものとなっていた。 親戚一同がいる前で、生前の大伯父に対して、 「早く死ねばいいのに」という発言をすることも一度ならずあった。
最近では、大伯母が家で全くご飯を作らない、という話も聞こえてきていた。 大伯父は、会社を経営していたのだが(実に前時代的なオーナー社長、晩年は会長)、 プライベートまで会社の人に面倒を見させるような状態だった。 休日でも呼び出され、外での昼食とその後の昼寝に付き合わされる社員なんて、 私的にはあり得ないのだけれど、 田舎の旧態依然とした組織ではそんな横暴も罷り通るようだった。 ちなみにその休日の昼食会には、私の叔父(大伯父にとっては甥)も ちょくちょく召喚されていたため、詳細が母や私の耳にも入ってきていた。
先月末、入院した大伯父は、かなり衰弱が進んでいた。 医師は、「あと1か月早ければ回復したのでしょうが」と言った。 つまり手遅れだということだ。
大伯母は、2日に1度短時間見舞いに行くだけで、 全ての世話を家政婦に任せ、 白装束をオーダーするなど葬式の準備に余念がなかった。
大伯父は妻に殺されたのだ。 間接的であるけれど。
大伯母は、夫の娘と孫の事が嫌いだったので、 なるべく夫と娘たちを会わせないように画策していた。 娘は娘で、自分と母を捨てた父親、という恨みがあるので、 積極的に寄り付きはしなかった。
大伯父が入院したあとも大伯母は、 「そんなもの連絡しなくていいわよ」と言い放ち、 娘に情報を知らせずにいた。
一人娘なのだ。親の入院を知らせないなんておかしいだろう。 そう考えるのが当然なのだけれど、 会社の役員たちも強権を握っている大伯母に逆らえず、 困り果てて叔父に相談をもちかけた。 叔父は姉(私の母)に相談し、最終的には母から大伯父の娘(母の従妹)に連絡した。
冷え切っていると思われた大伯父と娘の関係は、 ここ数年大伯母が大伯父への仕打ちをエスカレートさせるのと比例して、 見えないところで雪解けを迎えていたようだった。
大伯父と娘の接触を知ると大伯母が荒れるので、 2人はひっそりと、大伯母の知らぬところで、電話で連絡を取り合っていたらしい。
この一連の出来事に関して思うことはいくつかある。
あんなに頑なに父親を拒んでいた娘にどんな心境の変化があったのだろうか? 理由が何にせよ、娘や孫と温かい交流を持てたのは大伯父にとって幸せだったろう。
大伯母はなんであそこまで憎しみをエスカレートさせてしまったのだろうか? 人はどこまで残酷になれるのだろうか?
大伯父は、自分の妻が自分に緩慢な死を与えようとしていたことを気付いていたのではないだろうか? だとしたら、何故そこから逃れようとしなかったのだろうか? それは何かの贖罪なのか。プライド故なのか。 老いが彼から正常な判断力を奪ったのか?
でも、一番気になるのは、何故娘が父親(大伯父)を助けなかったか、ということだ。 大伯母の仕打ちについて、彼女も薄々気づいてはいたのだ。 私は彼女が大伯父を助けなかったことに対して、怒りを感じる。
関係が改善していたとはいえ、そこまでの情はなかったというのだろうか?
遺影を誰が持つかで揉めてみたり、 詳細は書かないけれど昼ドラにできそうなくらい馬鹿みたいな修羅場を 臆面もなく演じる彼らの気がしれない。
とはいえ、これらはすべて伝え聞いたところによる話ではあるし、 私自身が何かアクションを起こしもしなかったのだから、 何か言える立場でないことはわかっているのだけれど。
■メルマガ単語 bow out 身を引く、辞任する lop off 切り取る、切り落とす pipe up 甲高い声で言う、話し始める pull off 離れる、去る、〔困難な状況の中で〕成功する slap on 〜に割増し料金をかぶせる、〜に(税金を)課す、勢いよく着る、帽子をぽいとかぶる ward off 避ける、防ぐ、撃退する zero in on 〜に銃の照準を合わせる、〜に焦点を絞る acuity 鋭さ、鋭敏さ clumsy 不器用な、ぎこちない ※機嫌の悪いって意味かと思った。 consign 〜を渡す、預ける contend 競う、競争する、〜を強く主張する correspondent 特派員、記者
|