祖母とお別れをした。
雨の音が怖くなった。大きな雨粒が窓を叩く激しい音。 田舎の風景も怖くなった。 今まで自分を包み込んでくれるように感じていた山の木々が、 突如襲い掛かることがあるということを知ってしまった。 そして、ほんの数日で山景色がまるで何もなかったかのように 澄ました顔になることも。
祖母は、家族を深い愛情でくるみ込んでいた人だった。 最期の最期まで、弱いところを見せず、 逆に残される私達をとことん思い遣り、手助けしてくれた。
私の手元には、祖母から来た何十通もの手紙が残された。 従妹の携帯には、本当に何の気なしに撮影した動画があった。 土砂の中から奇跡的にアルバムが1冊発見された。 若かりし頃の祖母や、祖父母の結婚式の写真、そして幼い私と写る祖母。
今祖母は、先に亡くなった祖父と一緒にいるのだと思う。 それで、幸せだと思う。
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