今の職場を変わる気は無いが、習慣で求人広告を見ている。
焼き肉屋のバイトの募集があった。そこは私が働いているクリニックの患者さんが経営しており、私も一度職場の忘年会で食べに行ったことがある。
ふと思いついて、電話をした。
「求人広告を見たんですけど・・・」
「ハイハイハイ・・・」
「私、M整形外科の看護師をしているKと申します。高校生の息子のことなんですけど」
そんな風に切り出した。
「接客ではなくて、裏方で何かできる仕事はありますか?」
「あるよ」
「でも、切ったり、簡単な調理とかできないとダメですよね」
「いや、助手がほしいんですよ。ビビンバをご飯の上に乗せるとか、盛り付けるとか」
「息子は普通の高校生ではないんです」
「どんな風に普通じゃないんですか?」
小学校の頃から不登校だったこと。中学は3年間行けなくて、高校で行き始めたけど、行けたり行けなかったりを繰り返していること、人と接することが苦手なことなどを話した。
「一度連れておいでよ」
そう言われて、うれしくて「ありがとうございます」と言った途端ハッとした。勢いで電話してしまったものの、今の息子の状態では迷惑をかけるだけかもしれない。
「すみません。でも、ご迷惑をおかけすることになると思うので」
「でもね、毎日学校に通ってても人に迷惑かけてるヤツは一杯いるよ。子供がそういう状態に陥った時に大人が何としなきゃいけない時ってあるんだよね。私で役に立つことがあれば・・・」
私は目に一杯涙を溜めていた。
息子がバイトをできるかどうかは二の次。 他人なのに、そんな風に言ってくれる人がいるだけでうれしかった。

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