| 2003年05月29日(木) |
涙を武器にはしません |
髪を切ったことでかなり嫌な気分になった。
髪を切ったことが引き金になったのだろうか。 火曜日は心も体も調子が悪かった。
患者のS(男)さんが、 「Kさん、この前のバンソウコウ位置が違っていたよ」 と言う。
「そうですか。どうもすみませんでした」
と言うと、
「今日はやけに素直じゃない?」
とSさん。
私はSさんがかなり苦手だ。
点滴を入れる前から、ゴチャゴチャ言うので、入るものも入らなくなる。
先日も看護師のY君と譲り合いをした。
私が凹んでいるのがわかったのか、その日はY君が点滴を刺した。
Sさんは続ける。
「それにさあ、点滴したとこ青くアザになっちゃったよ」 と言うので、
「それはバンソウコウの位置とは関係ないですよ。押さえ方が甘かったからですね」
と言った途端、涙がボロボロとこぼれ落ちた。
誰が見ても、Sさんに泣かされた感じになってしまった。
でも、それは違う。
誰が何を言っても、何か言わなくても、涙はこぼれる寸前だったのだ。
コップになみなみと注がれた水が揺れている状態と同じように。
「すみません。Sさんのせいじゃないですから。ちょっと上行ってきます」
と言い残し、二階のナースステーションに行った。
必死に涙を拭くが、止まらない。
私は何を泣いているのだろう。
いろんな思いが、複雑に絡み合っている。
やっと涙を拭いて、下に降りて行った。
看護婦のAさんが、
「ちゃんと言っておいたからね。押さえが甘かったのもあるし、年と共に血管はもろくなってアザができやすくなるんだから。Kさんのせいじゃないって」
と慰めてくれた。
「あの、でも、Sさんのせいじゃないんです」
いくら言い訳をしても、どうにもならない。
「Kさんをいじめてもしょうがないよなぁ。俺の娘と同い年ぐらいだろう? まだ40行っていないだろう?」
「ハイ」
「30前半ぐらいか?」
「ハイ」
「そうだろうなぁ」
↑嘘ばっかり言ってます、私。Y君が笑っている。
Sさんという患者はとても苦手だったけど、なんだか悪いことをしたような気がした。でもね、男の人にこういう患者が多くて困るのだ。
「アンタじゃなければ、点滴は入るのよ!」
と言いたくなる患者!
家に帰ってから、主人に話すと、
「涙は女の武器だからねぇ」
と純ちゃんと同じことを言う。
私は武器にしたわけじゃない。
どうしても止められない涙がある。
主人に、
「でもさ、結果的によかったんじゃないの?これでもう変なこと言われないんじゃない?」
と言われた。そうだったらいいんだけどね。
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