| 2006年12月01日(金) |
「キングダム・オブ・ヘブン」DC版 |
劇場公開時にはカットされた、50分の映像を加えた3時間14分のディレクターズ・カット版。
やっと観れた・・という嬉しさと、劇場公開時からのいろいろな思い出がこみ上げてきて、観終わったあとしばらくは言葉も出ずに、感無量の思いでいっぱいでした。 でもね・・なんていうか、(ずっと聞いてはいましたが)本当にもったいない(涙)このDC版を劇場で観たかったなぁ・・。
加わったシーンによって、物語はより深く、そしていろいろな側面を私たちに提示してくれます。 劇場版を観た時には、脳内で想像を付け加えても「ん?なんか唐突かも」という思いが拭い去れませんでしたから。 人物たちの背景もしっかりと見えてきましたよ。バリアンももちろんそうですけど、父ゴットフリー、そして何よりシビラ!!彼女が全く違ってきましたね。
まず冒頭、バリアンの妻の埋葬シーンからして・・すでにいろいろなセリフのやりとりが続きます。 なぜバリアンが妻の埋葬の時にいなかったか、彼の村での立場がどんなものか(ここでちゃんと彼が武器を作れる職人であることが語られてますよ、ただの鍛冶屋がおかしいじゃん〜〜って言わせないし!)そしてあの司祭との関係にいたるまで・・・・ ゴットフリーと領主との関係も明らかにされて、後に森で襲撃される伏線もちゃんと見えます。(バリアン連行の裏に隠されたわけ) でも、でもなにより、この冒頭シーンでは、私、バリアンの表情に心奪われましたよ。それは悲しむ・・を通り越して、喪失の表情・・・なんです。 庭で樹を植える妻(ラストシーンに繋がる樹ですね)を見守り優しい笑みを浮かべる表情から、やがて遠くを見つめて力なく微笑む・・あのなんともいえない表情への変貌・・・この表情観るだけでこのDC版を買う価値はあります。ええ・・言い切りますとも!!
エルサレムへ着いてからの「タオルをくれ」の入浴シーンももちろん楽しみでしたけど(そりゃあそうでしょ 笑)王との対面、会話、こちらもより素晴らしい。 そして私の大好きな、イベリンでの暮らし。ここでもはっきりと時間の経過が感じられましたね。水が引かれて乾いた土地が潤い、やがて緑の大地と変わるまで。 シビラはずいぶん長く滞在してたわけですよね。小船を拾って流しながら、水路に添って歩くバリアン、自分の土地を愛し確認するかのようなシーン、いいですね。
シビラとのラブシーンもちょいと長くて、思わず見とれる見事な背中(きゃーー)なのですが・・実は直接的なラブシーン(?)よりもその前後のふたりのシーンの方がよりドキドキしました。そういうのってありません?(と聞いてみる・・) 土で汚れたバリアンの顔を拭こうとするシビラの腕をとって思わず止めるバリアン。 愛し合った翌朝には、指に入れたたくさんの指輪からシビラが「あなたに会った記念の・・」といってひとつの指輪を抜き取るシーン。このときの指輪が、あの指輪なんですもんね!!
そして後半の展開では、なんと言ってもシビラの息子のシーンの復活!!う〜ん、しかし、なんとも・・・王の後を継ぐ、息子のシーンをすべてカットしてしまうとは・・劇場版は今思うとなんと大胆なのでしょう〜。 この息子が、また愛らしいですよね、そしてシビラの見せる母親としての顔。劇場版ではいまひとつ、よくつかめなかった彼女のキャラクターが、とても魅力的に甦っていました。
魅力的に甦った!といえば、もちろん、忘れてならないのは、エルサレムでの激闘のあと、ギーとバリアンのソードファイトですよーーー。 渾身のこのシーン、これはもう、ただただ・・観て欲しいです。最後にバリアンがギーに向かっていうあの言葉、あれこそが、ゴットフリーが息子に残したもの、騎士としての言葉だと思います。
細かいところ、こういうところがこういう風に繋がってたんだ・・とか思うところはまだまだい〜〜っぱいあるのですが。 とにかく!!一人でも多くの方に・・・劇場版で観た方も、まだ未見です〜っていう方にもこのDC版を観ていただきたい!!その思いでいっぱいです。
劇場公開時に問題になった字幕は・・ずいぶん変わっていましたね。 とても分かりやすくなっていたと思います。
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