2004年アメリカ=イタリア 監督マイケル・ラドフォード キャスト アル・パチーノ ジャレミー・アイアンズ ジェセフ・ファインズ
子供のころ、少年少女向けに書き直してくれたお話を読んだのがシェークスピアとの出会いでした。 その後大人になってから「リア王」「ロミオとジュリエット」「マクベス」「真夏の夜の夢」などは戯曲を読み直したのですが、この「ヴェニスの商人」だけは、子供の頃の印象そのままで特に読む返すこともしないまま・・でした。 他の作品に比べると特に登場人物の印象が薄かったせいでしょうか。肉1ポンド!っていうなんとも残酷な言葉だけは子供心に刻み付けられたのですが。悪人が裁判に負けてめでたし、めでたし・・で完結・・っていうお話のはずだったのです、私の中では。
だからねぇ・・・ちょっと驚きましたね。 いきなり顔につば・・でしたから。 ユダヤ人たちは、ゲットーに隔離され、蔑まれて生きている・・その理由が利子をつけてお金を貸すから・・って今の時代なら普通のことなんですけど・・この時代では金に汚ない、欲深い行為だとは。なら、借りなきゃいいのに・・。 バッサーニオ・・もポーシャに求婚するためにお金を借りるなんて・・しかもなんでしょう、当たり前のようにアントーニオに頼むのですからね・・お金がないなら、身分不相応な結婚を望むんじゃない!なあんて思わず思ってしまいましたわ(苦笑) アントーニオはバッサーニオの親友なんですよね??親友・・・・ う〜〜ん、なんですの?アントーニオのあの目線。恋人を見るかのような・・ ジェセフ・ファインズ、可愛いですよね、睫毛もやっぱり長い(笑)時代物の似合うこと。そんなバッサーニオ(ジェセフ)ににっこりお願いされて、ああいうことになってしまうアントーニオ。なんともふがいない・・。しかしふがいない役がとても似合うジェレミー・アイアンズの斜陽的魅力(いや、誉めてます) しかし、しかし、頬にキスじゃなかったよ・・あれってどうみても(ごにょごにょ・・以下略・・にしとこう 笑)
シャイロックを演じるアル・パチーノは魂こもってましたね。なんだか凄かったわ。あの日頃の積み重なった恨み、憎しみのこもった目の力。 悪役のはずの彼に最初から同情気味に見てしまったので、裁判のシーンでもポーシャの凛々しさは良かったけどなんだかシャイロックが気の毒に思えて。 財産を奪われ、娘にも去られ、しかも宗教まで変えないといけないとはっ!!宗教云々は、私子どもの頃のお話には覚えが無いなあ・・ やりすぎじゃないですの?キリスト教徒側の方たち。 なんだかとっても複雑な思いが残った映画でした。 ラストシーンのシャイロックの娘の顔にあらわれた表情・・彼女は何を思っているのでしょうね・・
というわけで、戯曲今度読んでみようかと思います。子供向けに書かれてなかったこともあったのかしらね?と思うので。
複雑な思い・・ですけど、映像や衣装、雰囲気には文句のつけようがなかったですね。中世の絵画をみているかのような・・ヴェニスの風景も見事でした。
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