1998年アメリカ 監督 スティーブン・メイラー キャスト アリ・シーディ デヴィッド・リー・ウィルソン タイン・デイリー
「かってアメリカの夫婦の半分から三分の二は離婚した」
ダニエルの両親は離婚の際、母親が3人の姉を父親が末っ子のダニエルを引き取った。以来20年も会っていなかった兄弟。しかし、病気に倒れた母親の願いで3人の姉たちは弟を探すことにする。
この再会が4人にもたらしたもの。 例えば、両親が離婚した時一番大きかった長女。彼女は今も両親の離婚のショックをひきずっている。それは自分自身の離婚とも重なるところがあって。 バスの運転手をして自分たちを育ててくれた母の苦労も一番わかっている年頃なので、彼女はいまだに父親を許せないでいる。 でも三女や父親に引き取られた末っ子のダニエルは、幼くてそのことをあまり覚えていなくて。だから、複雑な気持ちは抱きながらも再会を素直に喜ぼうとしている。 「誰がいけないとか、何が悪いかとか分からないけど、でも嬉しい、今は再会をただ喜びたいだけ・・」 と三女が父親に告げるシーン。三女は間の悪いことを言ったり、オカシナ言動をいつもしてて、姉たちに「おバカ」(でもきっと愛情はこもってる)呼ばわりされているのですよね、でも彼女の純粋な気持ちが嬉しくて父親は「君は賢いね」って彼女に言う。おそらく生まれて初めて言われたのかもしれない、その言葉に驚いたように微笑む彼女の表情がよくって、ほろっとしてしまった。 次女は、長女ほどには父を憎んでいるのでもなく、でも三女のようには素直に喜べなくって。いろいろなことがあった夜、帰ってきた彼女が目にするシーンも好きだ。ソファーで窮屈そうに、でもぴったりと寄り添うように眠る夫と子どもたち。 この映画のジャケットもこのシーンだよね。じっと彼らを見つめる次女の目に溢れてくる愛情・・・う〜ん、じーーーんときます。
だけどね、この3人のお姉さま方、結構見た目とか怖そうで20年ぶりに会って、あなたの姉よ・・って言われてもちょっと遠慮したくなるタイプなのだけど。ダニエルは父親に引き取られて生活苦を知らずに育ったから素直で屈託無くって。姉たちを嬉しそうに迎えるのですよね。でも、婚約者の家族と姉たちの摩擦や、父親と母親の問題などもあって彼も少しづついろんなことを考えるようになって。 お話が進むにつれて彼の顔がどんどんと男らしくなってゆくような気がしましたね。
なんだかね、こまかく書きすぎてしまいましたね。 実を言うと、私の両親も私が高校生の時離婚したのでした。そして私も4人兄弟、幸い・・というべきなのか、私たち兄弟は揃って母親に引き取られたのでそれからも一緒に育ってきたのですけど。 そういうこともあって、この映画、なんだか私にはとてもずしーーんときたのでした。4人の姿を自分たち兄弟に重ねてみたり、いろいろと考えながら見ていました。
一度は永遠の愛情を信じた二人が迎える破局、それはどちらが悪いとか、何が問題なのかとか、決して簡単に説明できるものではないでしょうね。 すごろくのように、スタート地点に戻る・・それが出来たら、二人はまたもとのように一緒に生きることができるのでしょうか・・・
長女は、最後に一度も自分たちに会いにきてくれなかったと思い込んでいた父親には・・ある理由があったことを知ります。 なんだか、この理由だけ考えると父親の方が良い印象をもちますけど、でも母親もきっと必死だったのじゃないかしらね。彼女にはきっと子どもたちだけが支えだったのでしょうから。
彼らには、、まだまだいろんなことが起りそうだけど(ダニエルも結婚してもいろいろ問題起こりそうだし) でも20年ぶりに出会って、また再び家族に戻れそうな彼らの姿・・・嬉しいです。 離婚したことでその家庭は無くなってしまっても。 でも兄弟は兄弟で。父親は父親で、母親も母親だから。彼らは家族だから。 そのことを改めてしみじみと感じたのでした。
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