2004年日本 監督 磯村一路 キャスト 大沢たかお 石田ゆり子 富司純子 松村達雄 田辺誠一 柄本明
ずっと、気になっていたこの題名「解夏」。 仏教の修行僧が行う、行から来ているのですね。 “結夏”に自分に課した行を始め、その行から解き放たれるのが“解夏”
しだいに視力を失うベーチェット病(こういう病気があるのですね、悲しい)に冒された隆之。目が見えなくなってゆく・・という恐怖の日々が彼に課せられた行だとしたら・・解夏は、彼がその恐怖から解き放たれる日・・失明する日なのですね・・・ でも修行僧は、解夏から普段の日々に戻ってゆくけど、隆之にはそこから新しい日々が始まってゆくわけですよね。 目が見えない生活・・という日々が。
そんな彼の怖さ、悲しみが、すごく自然に伝わってきました。けっして押し付けがましいものではなくって、とても自然に。 そしてそんな彼を支えようとする、恋人や、母親や、友達や。 淡々とした日々の中で、それぞれの人々の気持ちがとても素直に感じられました。 中でも富司さん演じるお母さんと、隆之に解夏の話を教えてくれた林老人(松村達雄さん)は、いい雰囲気でした。
長崎の自然も、綺麗でしたね。坂も印象的でした、坂の町ですもんね。 自分の育った町の風景を目にやきつけておこうとする隆之。 最後に見たいものって・・もし、私だったらなんだろう・・そんなことを考えてしまいました。 でも、本当に目が見えなくなるって辛いですよね。想像したくないほど、悲しいです。
暗闇というのは、光が見えないものには存在しないという話も印象に残りました。 盲目の世界は暗闇ではなくって、そこは乳白色の世界だと。
もし、自分にも背負わなければいけない行があるとしたら。 こんなに辛い行はどうか背負わさないでください・・思わずそう願った弱虫の私でした。
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