| 2003年08月23日(土) |
「スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする」 |
2002年フランス・カナダ・イギリス 監督 デヴィッド・クローネンバーグ キャスト レイフ・ファインズ ミランダ・リチャードソン ガブリエル・バーン ブラッドリー・ホール
汽車が着き、人々が降り立つ。誰もいなくなったホームで一人立ち止まるデニス・グレッグ。薄汚れたコート、ぶつぶつとつぶやき、靴下から何かを取り出す彼。 もうすでにこの登場シーンだけで、彼グレッグの普通ではない人物を感じさせるレイフは凄い!! その存在だけで、もう息が詰まるような、何か起こるんじゃかって思わせるような。 何枚も何枚も着込んだシャツ、道々拾い歩く紐、バスタブに胎児のように丸まっている姿・・何かから自分を守ろうとして必死になっているような・・そんな印象を受けました。
彼の父が愛人と共謀して彼の最愛の母を殺した・・という少年時代の記憶。 回想シーンは、デニス少年(この子がまたね・・なんともいえない目をしててね〜)と彼を観ている今のグレッグを見せて。 記憶の中で母の姿が変わっていく。 少年の幻想なのか、どこまでが真実なのか、それは観ている私たちが想像すること?ウィルキンソン夫人のアパートの出来事も、何が本当にあったことなのか、グレッグの幻想なのか・・。 少年とグレッグが張りつめる蜘蛛の糸・・・なんとも・・・。
少年にとって母親ってそんなに神聖なものなのかしらね・・。だとしたら困るわ・・あまりに潔癖すぎたのかしらね。 結末は予想されていたことだったので、あまり驚きはしませんでした。でも悲しいね。グレッグの時間は「母の死」で止まってしまっていたのかしら。 そして過去を思い出すとき、彼はまた少年の時と同じように蜘蛛の糸を張って。
ウィルキンソンさんのアパートの窓から見える巨大なガスタンク、割れたガラスの破片が蜘蛛の巣のように見えたり。 印象的なシーンもいろいろありましたね。
ああ・でもかなり苦しい映画でした。重くてね・・画面も暗いし。 観終わってから、深呼吸しちゃった・・思わず。
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