1998年ギリシャ・フランス・イタリア 監督 テオ・アンゲロプロス キャスト ブルーノ・ガンツ イザベル・ルノー
作家のアレクサンドレはもう治ることの無い病の身。入院する前日、彼は犬を預けたいと娘を訪ねる。結局犬を預けることは出来ず帰る道で、彼はアルバニア系の難民の少年と知り合う。なぜかほおっておけず、少年を国境まで連れて行こうとするアレクサンドレ。しかし帰ろうとしない少年に彼は最後の一日を少年と過ごそうと思うのだった・・・
死期を感じ、過去へと回想をめぐらす作家。亡き妻の手紙は、彼への思いに溢れ、彼はそれを気づかなかった自分をなんと思っただろう。 少年には明日がある。でもその明日は生ある明日とは限らない。彼の明日は不安に満ちている。 そんな二人が「明日」という永遠(いや、明日は永遠ではないのかも。むしろ過去こそ永遠のものかも)に向かう一日をともに過ごす。
印象的なシーンがたくさんある。 国境の金網にすがりつく人々(あれは死体ではないのよね・・)。 回想の中の妻の水玉のワンピース。 自らの結婚式で、見詰め合って踊る新郎と新婦。 言葉を買いにいく詩人。 そして最後のバスのシーン。
アレクサンドレと少年の乗るバスに乗り込んでくる人々。それは分かれようとしているカップルだったり、音楽をかなでる楽団だったり。 あの詩人だったり。 なんだかとても不思議な光景だった。なんだか「銀河鉄道の夜」なんて思い出したりしたの。 これらが何を意味するのかは分からない。それはアレクサンドレのこれまでの人生の何かだったのか・・・・ 見終わってからいろいろ思い出したり、ああこういうシーンもあったなあって思えるような映画です。そういう映画って結構好きですね。
アルバニア系の少年たち・・ああいう少年たちがいること自体知らない自分が恥ずかしい。ギリシャに流れてきて、働いて、売買されて。どう言ったらいいのか・・なんとも言葉が出ません・・・
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