1984年フランス 監督 バルトラン・タボルニエ キャスト ルイ・デュクルー
パリの郊外に住む1人の老画家。ふだんはお手伝いの女性と静かに暮らしている彼のもとに日曜日には息子家族が訪ねてくる。近況を話したり、お茶を飲んだり、そんな一日の様子を静かに追った作品です。
まず、風景がとても美しい。緑のあふれる庭に光がなんともいい感じでさしています。落ち着いた室内。まるで、一枚の印象画のようです。
親子の語らいからいろいろなものが見えてきます。父親の老いを心配し、ふと父の死を想像してしまう息子。はっと我に返り、父の肩をやさしく抱きしめる。
突然風のように娘も訪ねてきて、静かな家があっというまに賑わいます。このきまぐれな娘を愛している父親の嬉しそうな顔に複雑な息子。息子は父親にとっても気を使ってるんだけど、彼女はぜんぜん構わないのね。自分の好きなようにするし、言いたいことも。父親の絵を保守的で面白みがないと飾ろうともしない。そんな彼女はとても自由で、だからこそ、父親は(息子より)彼女が可愛い。
やがて皆がそれぞれ帰っていき、ふたたび家は静まりかえる。 「小さい世界だろうが自分の愛する、悔いの無い世界を描きたい」と娘に語った彼は、1人新しいカンバスに向かうのだ。
日常のなにげない風景を静かに描きながら、父と息子、父と娘、それぞれの家族、そして1人の老いていく画家の生き方も浮かび上がらせる作品、私は好きですね。 ただひとつ気になったのは、ナレーション。父の気持ちとかを説明してくれるんだけど、これは要らないんじゃないのかなあ。もっと想像したかった・・
あと、素敵なお茶のシーンがあったので、これは「お茶のある風景映画編」にUPしなくちゃ。
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