いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2015年12月07日(月) 民泊条例大反対!討論全文

 次世代の党は、ただいま上程されました第114号議案 大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例案に絶対反対の立場から討論いたします。

 本条例は、国家戦略特別区域法に基づき、外国人に空き部屋を提供する所謂「民泊」について定める条例であります。

 大田区では昨今、羽田空港の国際化を契機に「国際都市おおた」のオンパレードで、ついには「観光・国際都市部」なる部署まで新設してしまいました。私が、区議会地域活性化等特別委員会委員長であった当時、JTB、日本旅行、はとバス等の旅行業者の企画担当者を招聘し、大田区内の観光に適すると思われる箇所を視察して頂き、後日詳細な報告書を頂いたことがあります。その回答は、全社そろって「大田区にはツアーに取り入れるべき観光スポットはない」でありました。

 私は、平成13年まで20数年間、区内最多の店舗網を誇る旅行業者の経営者としてあらゆる国内外の観光資源を駆使したビジネスを展開してまいりました。その経験からも、観光資源に乏しい基礎的自治体である大田区が観光振興に貴重な税金を投入することは、単なるイベント屋になる恐れがあると危惧しています。

 さて、そのような誤った観光施策のなか外国人の「民泊」を認める本条例案が、大田区で制定されようとしています。本条例案は、「民泊」を旅館業法の適用除外とするためのものですが、実際には旅館業法の4つの区分の中に、「簡易宿所」というものがあります。これは、面積33平米以上であれば、比較的簡便に開設が認められるものであり、「民泊」もこの中に落とし込めばよいだけであります。
さらに、本条例案を見ますと、案文はたったの5条で成り立っており、そのうちの2条分は、法の趣旨と委任についての定めですから、条例文としては、なんとたったの3条にすぎません。そこで定められている内容は、宿泊日数は7日以上とすること、立ち入り調査が出来ること、周辺住民に「民泊」施設であることを周知させること、たったこれだけであります。

 衛生面について、セキュリテイについて、国籍確認についてなどは、何ら定められておらず、内閣府と厚生労働省が作成したガイドラインに従うとのザル条例と言わざるをえないものであります。
はたして、大急ぎでこのようなザル条例を制定する理由はなんでしょうか。誰がこのメリットを受けるのでしょうか。ポイントは、25平方メートル以上の部屋と、7日以上の滞在日数にあると考えられます。

 政府自民党は、厚生労働省に指示し、2016年から介護職員の不足に対応する外国人の単純労働者の受け入れを始めることにいたしました。また、少子化対策のため、毎年20万人の外国人移民受け入れまで検討しているとも、モレ聞こえてまいります。

 さらに、TPPにより、より多くの外国人、それもオリンピック関連施設工事に携わる外国人単純労働者の入国も予想されます。これらの、労働者の滞在施設の確保には社宅としての賃貸契約、敷金、礼金の支払い、家具の調達など膨大な事務作業が必要になってまいります。社宅の清掃管理も必要です。そこで「民泊」を利用しようと考えるのは、私の独りよがりでしょうか。

 一般の観光目的の外国人が、7日以上も「民泊」をするとは考えられないのであります。また、25平米以上という面積も奇異であります。通常のビジネスホテルのシングルの客室は、15〜20平米程度なのです。また、国家戦略特区法施行規則では浴室、便所と並んで「台所」の設置が義務付けられているのです。観光客に「台所」の設置は不思議ではありませんか。

 簡易宿所やホテル等、旅館業法では一人あたりの必要面積の定めがありますが、「民泊」施設には、25平米以上のみが条件で、人数の制限はありません。とすると、25平米に二段ベットを入れて、25名を詰め込んだとしても「違法」ではないのです。これらを、見ても、外国人労働者の「タコ部屋」を認める法律、条例ではないかと懸念するのです。

 また、25平米という面積基準のため、ワンルームマンション等を利用して営業している既存事業者は、本「民泊」条例の認定を受けることが出来ず、結局は違法な営業が広がりかねないのです。

 フロントを設置する必要がないことから、「対面で本人確認をする」とする厚生労働省のガイドライインも有名無実化してしまいます。ネットで別人の顔写真を示し、偽造パスポートを提示されても、確認のしようがないのです。テロリストがアジトにすることも簡単ですし、蒲田の街に溢れている外国人売春婦の格好の利用場所になる懸念もあります。脱法ドラックの密売所等、考えればきりがありません。私は、先日「違法民泊」と思われる、西蒲田のマンションを訪問しました。すべての部屋が「民泊」に使われているようではありませんが「民泊」用の部屋には「人員何名」の表示があり、非常階段にはゴミと吸殻が溢れ、共用のゴミ集積所は、収集日ではないのに、ゴミが道路まであふれ酷い状態でした。

 残念ながら、本条例案には罰則規定がありません。所謂、行政機関の「事業者性善説」にたったザル条例でありますから、このような状態に対しても無力です。

 フランス、パリで起こったテロ事件や、ヨーロッパ各地のテロ事件等、世界中を恐怖に陥れている所謂「イスラム国」によるテロ事件など、我が国を取り巻く治安環境は予断を許さないほど緊迫しています。

 区民の安心、安全を守る基礎的自治体としての、本来の使命を忘れて、「観光」だの「国際化」という言葉に踊らされる本条例には到底賛成できないのであります。

 人の移動を自由化したEU各国では、イスラム系移民の大量流入により、伝統的な街並みやコミュニテイが崩壊しつつあります。移民の出生率は、自国民の何倍にものぼる国が多く存在しています。その結果、移民2世、3世による貧困の連鎖、社会保障費の増大など国家破滅の大問題が発生していること、我々は学ばなければなりません。

 2675年の永きにわたり、古来から続く歴史伝統文化を守り続けてきた世界最古の国、日本。多文化共生だの、移民促進だの、この国の国柄を壊し、国家存亡の危機に貶めようとする様々な企みに組することなく、守るべきものは絶対に守る、そして、良識ある外国人とはお互いの文化を尊重する姿勢を示すことが我々、区民の信託を受けた区議会議員の大切な使命であります。

 特に結党以来「保守」を標榜されてきた自由民主党の諸君には、どうか、今一度その結党の原点の立ち返り、テロリストや売春業者、さらには竹中平蔵氏ら人材派遣会社を利するだけの「国家崩壊」に繋がりかねない本条例案に区民の代表、最大会派として「大反対」を表明していただくようお願いし、国家を憂いる保守本流の政党、次世代の党、犬伏秀一の反対討論としたします。


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