| 2007年10月16日(火) |
国家の安全保障を政局にする愚かな国、ニッポン |
自民党左派福田内閣が誕生して、小泉、安倍政権と、やっとまともな国になろうと舵が切られたのに、また「談合政治」「55年体制」に戻ってしまった。
社会党に飲ませ食わせして、裏取引をした国対政治が又復活だ。さすがに飲ませ食わせは出来ないだろうが、民主党のダッチロールしている無責任な主張を与党が取りいれる愚行に走り出した。最も問題なのは、国家の安全保障という最大の「国益」をも政局にする民主党小沢一郎代表の姿勢である。 (詳細は、産経新聞発行雑誌「正論」10月号拙稿参照)
インド洋で、対テロ多国籍軍に給油支援を行っている海上自衛隊の活動を規定している対テロ特別措置法は、来月1日に期限切れを迎え、安倍氏が苦悩した新法の成立も間に合わず、部隊ははるばる3週間をかけ一旦わが国へ戻る可能性が高くなった。そして、その間、給油支援は行われず、わが国のタンカーを含む、多くの民間船舶がテロや海賊の危険にさらされる。
笑い話は、政府と民主党、それぞれの法案である。政府は、新法で海上自衛隊の活動を「給油」と「給水」に限定するというではないか。であれば、「安全な場所」「非戦闘地域」とおっしゃっているのだから、何も、新法を作ってまで自衛隊を派遣する必要はない。日本石油やエッソ石油にでも給油はまかせ、給水は石原都知事に頼んで、東京都水道局にでも行ってもらおうではないか。そうすれば、民主党さんも反対のしようがないだろう。自衛隊をなんだと思っているんだ!どいつもこいつも!
こんな法案では、給油中の多国籍軍の船がテロに襲撃された場合、海自の護衛艦は例え反撃できたとしても「政府さま」のおかげで、敵前逃亡するしかない。沈没する友好国の軍艦から脱出する兵隊を救助するのが関の山。世界中から「臆病者」として笑い者になるだろう。
民主党の主張もなんだ!ISAF(治安維持部隊)に自衛隊を派遣するが、民生部門に限定するという。さらに笑い話は、給油支援の対案としてアフガンの復興支援に派遣する文民の警備を、外国の警備会社に委託しようと言うのだ。日本人を守るために、外国人のガードマンが身を挺しあたる。結果、殉職したとしよう。「外国人なら死んでもいい」もう我が国の国際信用力は下の下に下がるだろう。
これは、自衛隊に警備させることは「政治判断として実力部隊を出すことは考えられない」(直嶋正行政調会長・自動車労連出身参議院議員)ことだそうだ。冗談じゃないよ!独立国で立派な軍隊(自衛隊)がありながら、他国のガードマンに守られることこそ「政治判断」として考えられない。自国民は危険にさらさないが、他国民ならいい。いかにも責任ない労働組合に支えられた政党らしい主張である。
アホな政治家に振り回されて、現地で苦労するのは、日本国民たる自衛官である。現地は常に生命の危険が隣り合わせの「戦場」である。戦場のことを、平和ボケの永田町で語るべきではない。
刑法の正当防衛でしか武器が使えない現状を見直し、国際基準にあわせた「武器使用基準」を明確にし、現場指揮官に権限を委譲すべきである。派遣される隊員、指揮官の「志」だけが頼りの現特措法を抜本的に改正する勇気こそ責任政党に求められよう。自衛官の殉職者が出てから考える「いつもの手法」は、もう時代遅れである。
平和主義者が暴力を放棄出来るのは、彼らに代わって暴力を行使してくれる者がいるからである。(英国の作家ジョージ・オーウェル)
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