雪さんすきすき日記
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2020年09月12日(土) 「終わる世界とキミとぼく」のこと

 8時頃起床。
 午前中は会社。あろうことか、仕事中に職場で長年の課題になっていた案件を解決する方法をうっかり思いついてしまったが、準備(会社の回線では検索に制限がかかるので、それを回避するために持ち込んでいるiPad)が足りなかったので明日も会社に行ってVBAマクロを組まなければならなくなった。なんということだ。
 午後、「Nuclear Throne」をプレイ。キーボード+マウスとコントローラでプレイしやすさを比較してみた。照準の移動は当然ながらマウスの方が圧倒的に快適。武器選択と武器を拾うのもマウスのボタンに割り当てれば、左手は移動に専念できる。しかし、やはりキーボードでは移動が覚束ない。一方のコントローラは、今までエイムアシスト0%でプレイしていたのを100%にしたら、補正が結構効くようになった。そして、移動の快適さはやはりコントローラの方が上。結果、コントローラを継続して使用することに。あと、設定を変更しているときに間違ってセーブデータを消してしまった。ゴールド武器をまた最初から集めなおしである。
 夜になって、またまた帰ってきた!どうぶつ図鑑SPを待機してたら、時間になっても始まらない。おかしいと思って確認したら、来週だった。ずっと今日だと思い込んでいた。なので、楽しみは来週に持ち越し。

 「終わる世界とキミとぼく」(illCalab.)の感想。
 少年少女が核戦争後の世界を生き延びる姿を描いたテキストADV。一日は朝昼晩で区切られており、各時間帯にイベントが発生する。イベントには選択肢が表示されるものもあり、選択した内容によりイベントの内容が変化する。このイベントを通じて物資や情報を入手し、生存する手段を確立していく。また、特定の物資を消費して拠点を構築することで、アイテムを加工することができるようになる。一日の終わりには食料を消費して体力や精神力状態を回復させることができる。
 少年少女にはそれぞれ体力と精神状態が設定されており、体力が無くなるとゲームオーバー。精神状態が悪化すると表示される文章が支離滅裂になるが、ゲームを進行することはできる。また、少年には腕力と知識も設定されており、どちらも上げることで特定のイベントの内容が変化する。

 プレイしたての頃は、ただ単に運に翻弄されて死ぬことを繰り返すばかりであった。序盤でいきなり体力が激減するイベントに遭遇したり、イベントで負った傷が治せず重症化してそのまま死亡とかが普通に起こる。なので、理不尽極まりない運ゲーという印象を持つのは当然であった。
 しかし、この時世にこれほど様々な作品を作ってきた開発者が単なる運ゲーを送り出すとは思えなかったし、開発者自身がこれは運ゲーではないと主張していたのも大いに気になるところではあったので、投げ出さずにしばらく続けてみたところ、朧気ながらこのゲームの狙いが見えてきた。
 ゲーム中に起こるイベントはランダムではあるが、場所によりどのイベントが起こるかは明確に決まっている。そして、選択肢の中には必ずその影響を最低限にするものがある。また、特定のアイテムを所持していることでイベントの内容が、多くの場合は有利に働くよう変化する。したがって、攻略のためにまず行わなければならないことは、イベントの内容と変化する条件、選択肢においては最善のものを把握することであると考え、それを実行した。
 すると、面白いように生存確率が上昇。もちろん、相変わらず序盤のイベントによっては即座に終わることもあったが、少なくとも不用意に状況を悪化させることは確実に回避できるようになった。そうなると、活動範囲を徐々に広げられるようになり、そこでまたイベント内容等を把握して、を繰り返すことで攻略が進んでいった。

 プレイしたての頃に理不尽な運ゲーという印象を抱いていたので、このように攻略が進むことがにわかには信じられなかったが、プレイ内容を振り返ってみると、イベントの発生確率とその内容が非常に緻密に調整されていることに気が付いた。さらに、イベント単体のみならず、イベント間の相互作用やアイテムの活用方法、腕力と知力に関する条件設定など、膨大で多岐に渡る調整について考えれば考えるほどその絶妙さを知ることとなり、驚きを禁じえなかった。そして、プレイヤーはこの終末の世界で起こる全ての事象を知りうる存在となり、神の視点をもって少年少女を導くのがこのゲームの狙いということが理解できた。この狙いが理解できた途端、理不尽な運ゲーという印象は霧散し、与えられた条件をいかに有利に活用するかを考える、いわばボードゲームのようなゲームであるという印象に置き換わった。
 その後、No.3のバッドエンドまでは普通に到達できるようになったものの、そこから先がまた長かった。とにかくあらゆる試行錯誤を行い、それが恐らく3桁となった末にようやく条件を見つけ出すことができた。そして、到達した真の結末は、今までの努力が報われるほどの鮮烈な演出に迎えられて正しく感無量であった。この結末を迎えた後に公式サイトを見たところ、一人で挑むようにはできていないと書かれていて唖然としたが、それが自力で最後までこのゲームを攻略できたことへの大きな達成感へとつながった。
 また、運をプレイヤーが支配できるようにある意味「錯覚」させるような綿密な調整は、その世界観を受け入れる余裕をも生み出した。厳密に終末を迎えることが決定されている核戦争後の世界において、かつての文明の跡の描写や少年少女の懸命の行動を傍観することがある種の愉悦へと繋がり、すっかり魅入られてしまった。全実績を達成した後に読むことができる「崩壊前夜」は、正しくそんな世界観に魅入られた人に向けて用意されたもので、この世界の設定を圧倒的な情報量で補完してくれる素晴らしい内容であった。そして、世界観に魅入られることを見透かしたかのように用意されてたことにも、調整の綿密さを感じざるを得なかった。

 結局は運が支配する世界ではあるものの、同じく綿密に調整をされたイベントが絡み合い計算された世界はプレイヤーに次々と選択を提示してくる。そして、その選択を間違えない限り、少年少女の生存確率は確実に上昇する。逆に言うと、選択を間違えた途端に少年少女は窮地に陥り、そのまま死へと向かっても何ら不思議ではない。この残酷な世界を知り尽くした上で一手一手の判断を迫られる緊迫感と、その選択が事態を好転させるように働いたときの達成感、高揚感は際立って高く、攻略を通じて調整の妙をも存分に楽しませてもらえた傑作であった。ただし、ゲームの展開が運に支配されることは純然たる事実なので、理不尽な運ゲーであるという印象を抱く人はいるし、それはそれで間違ってはいない。評価を見ても肯定派と否定派で完全に二分されており、人を選ぶ作品であることは間違いないであろう。
 あと、1プレイの時間が短く繰り返しのプレイも容易であることから、凶悪な時間泥棒でもあった。主に成分献血の最中にプレイすることが多かったが、小一時間かかる献血のはずなのに毎回のようにあっという間に終わったように感じられた。


氷室 万寿 |MAIL
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