雪さんすきすき日記
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2017年02月07日(火) 続・「地獄のヘリコマンドー」のこと

 では、「地獄のヘリコマンドー」(OBLIQUEGLASS)の感想を。
 超高性能の軍用ヘリコプターを操作して各種任務を遂行する2D横STG。B級洋画を意識した作りが特徴。
 操作はWASDで移動、マウスで照準操作、右クリックで機関砲、左クリックで誘導兵器、ホイールクリックでポッド兵器を照準に向かって発射する。
 任務は主に敵の全滅だが、特定地点への到達や特定の敵の破壊といった内容もある。ブリーフィングでは挑戦する任務と、携行する武器や自機を強化するための装備を選択。任務が完了すると、その内容(残り燃料、残耐久力、命中率)に応じて評価とメダルが得られる。メダルを消費して4つの技術レベルを上げていくことで、新しい武器や装備を得ることができる。
 自機は4つの部位から構成され、それぞれに耐久力が設定されている。攻撃を受けた部位は耐久力が減少し、耐久力が無くなるとその部位が破壊される。胴体が破壊されると墜落してゲームオーバーとなり、その他の部位が破壊されると自機の能力が低下する。

 自機はあくまでヘリなので、動きはそれほど俊敏ではなく慣性も付いて結構もっさりしている。しかし、搭載された3種類の武器はその機動性の低さを補って余りあるほどの攻撃力を有する。正確なマウス捌きで敵に照準を合わせ、こちらが攻撃を受ける前に高い攻撃力で殲滅していくのがこの作品の面白さの肝と言えよう。また、低い機動性だからこそ、ライバル機などとの空中戦がより一層白熱するようにも感じられた。
 登場する敵はヘリや装甲車、船舶など多岐に渡り、それぞれに対して有効な武器が異なる。例えば、空中を飛ぶヘリには機関砲よりも誘導兵器の方が圧倒的に有利だし、装甲が固い敵には高威力のポッド兵器で装甲ごと破壊するといった具合である。この、敵に対する武器の使い分けが3種類の武器の存在意義を高めて攻撃の面白さを深めている。更には、ブリーフィングでの武器選択から戦闘は始まっているわけで、任務の内容に応じて最適な武器や装備を選ぶことが任務の成否に大きく影響する。空中戦のみや対地攻撃のみといった極端な任務では使用する武器も戦闘内容も大きく変わるので、任務の幅の広さも武器を使い分ける面白さに一役買っている。
 武器システムに関しては、非常に丁寧に作り込まれているという印象を受けた。

 任務完了後の評価は、前述のとおり残り燃料、残耐久力、命中率の3つがあり、高い順から金、銀、無しの評価が与えられ、それに応じてメダルが得られる。このうち、最も厳しめに設定されているのが残り燃料、すなわち任務遂行時間であった。ただでさえ機動性の低い自機なので、残燃料で金評価を得るには、任務にもよるが余程的確な動きと敵の破壊を行わなければならない。なので、残燃料で金評価を狙うべく攻略を重ねていくと動きが洗練されていき、金評価が得られる頃には見違えるようなプレイ内容になっていく。この一連の過程に大きな手応えが得られて非常に楽しかった。なお、残耐久力は耐久力を上げる装備に頼り、命中率は機関砲を数多く敵に当てて上げていた。また、これら3種類の評価を同時に全て金を得ると、パーフェクトと表示される。メダルには関係ないが、挑戦意欲が大いに掻き立てられる要素であった。
 ただ、装備を増やすにはメダルを獲得する必要があり、メダルを獲得するには使い勝手の悪い武器や装備は必然的に淘汰されてしまう。長射程の誘導兵器は時間が掛かるのと要する時間に対する攻撃力が低かったので試用以外では全く活躍の場は無かったし、装備も数多く用意されていた割には装甲強化か燃費向上、移動力上昇しか使用しなかった。例えば標的に全然近寄れないような任務があったならば、長射程の武器も活用できたかもしれない。
 メダルを消費して4つの技術レベルを上げていくと新しい武器や装備が得られる。最初の頃は普通の兵器だが徐々に高性能になっていく。と、ここまではいいのだが、更に高レベルになるとレーザーやレールガンなどヘリに搭載するには面白兵器が登場してくるようになる(ちなみに、時代設定は1980年代)。そして、最上位レベルになると、レーザーブレードとか衛星砲など最早空想兵器の域に達する。しかも、中には使い勝手の良いものがあるのだから実戦投入できてしまい、絵的に技術水準がおかしなことになる。この辺りは作品の主体であるB級洋画を意識してのことであろう。

 B級洋画的な最たる部分は物語。最初は東西冷戦下における小国での代理戦争をきちんと行っていたのに、途中から怪しげなオカルト的要素が加わって物語の方向性がおかしくなり、最終的には世界平和を掛けた戦いに発展するという、B級の王道的な内容であった。個人的にはその展開に「エドワードランディ」を思い起こされた。全部王女が悪い。
 また、任務内容も終盤になるとヘリコプターの機動力では不可能な任務が次々と現れて、それをさも当然のように達成していくところがこれまたB級洋画的で愉快極まりない。私はゲームのプレイ中は目的に集中してしまうのでその時は何も違和感を覚えないのだが、クリアしていざ内容を振り返ってみると戦闘ヘリの無限の可能性に唖然としてしまう場面が多々あった。
 ただ、展開の強烈さに比べて、楽曲面での演出は常識的で大人く、印象に残る曲がほとんど無かったのが気がかりではあった。ここにも何かしらのB級っぽさが欲しかったところである。

 堅実で丁寧に作り込まれたゲームシステムと、王道的なB級洋画風の演出が合致して、両方の面から楽しませてもらえた作品であった。
 全任務パーフェクトでクリア達成。武器を見て思ったのだが、やはり星の力というのは前作と繋がりがあるのだろうか。


氷室 万寿 |MAIL
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