雪さんすきすき日記
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2013年04月06日(土) 続^5・「AtoA R.RegulusII ExMonarch」のこと

 今日明日は台風並みの天気とのこと。といっても、別段出かける用事もなく、今週も棚を組んでは本を片付けていた。3週続いた作業もようやく一段落。

 「AtoA R.RegulusII ExMonarch」(B茄子屋)も先日一段落したので、感想をまとめてみようかと。
 科学の発展と共に、その活躍の場の縮小を余儀なくされたマジックユーザー。飛行能力に特化したレグルスも例に漏れず戦闘機に取って代わられることに。そんなレグルスの兄妹であるリオンとリゼ、そして前作のラスボスだったブラスドラゴンのアカガネさんが今作の主役。
 空海問わず数多の船を飲み込んできたサルガッソー海にて豪華客船が失踪。生存は絶望視されていたものの、数日後には乗客のみが全員無事で戻ってくるという異様な事態が世間を賑わせた。そこで、この調査を買って出たのがリオン達。とはいえ、サルガッソー海に眠る財宝が欲しくなってしまった(竜なので)アカガネさんが国家権力と話をつけて(竜なので)、調査と引き換えに古いもの漁りを黙認してもらおうというのが本当のところ。そんな感じで首を突っ込んだ事件の顛末を描いたのが今作である。

 タイトルどおり、前作「AtoA R.Regulus」の続編。マウスとキーボードによる自由度の高い操作で空を飛び、山のように襲い掛かってくる誘導ミサイルを時にはかわし、時には落としながら敵を倒していく2D全方位STGである。
 操作系は前作とほぼ同じ。マウスで操作するレティクル(照準)が動作の基本となる。自機はレティクルの方向に向かって飛び続け、弾もその方向に発射される。ただし、自機も敵も高速で飛行する中で正確に狙いを定めるのは難しく、ロックオンによる攻撃が主体となる。”狙い”という動作のキーを押すとレティクルの方向に照準範囲が一定の角度で展開され、その範囲内の敵をロックオン。そこで弾を撃つと、ロックオンした敵の軌道を予測して偏差射撃が行われるという仕組み。敵の動きが不規則であれば外れることもあるが、単調ならば大抵は当たる。レティクルを自機の近くに移動させた場合の攻撃はメレー(近接攻撃)となり、大型の敵や地形、宝箱への攻撃に活用される。
 自機はマジックユーザーらしく魔法によるシールドも装備(アカガネさんのはリオン達のを見て真似てみたもの)。シールドは巨人のような容姿で、攻撃を受けると自動で発動して受けた方向に一定時間出現する。シールドで受けた攻撃は無効となるが、このときに他方向から攻撃を受けるとダメージとなる。シールドには耐久力が設定されており、攻撃を受けると減少。耐久力は時間で回復するが、無くなると一定時間シールドが使用できないブレイクという状態になる。自機の体力が無くなるとゲームオーバーなので、攻撃を受けると即ダメージになるブレイク中は大変危険な状況といえる(なお、自機の体力はコインなどのアイテムで回復)。また、自機とは別にシールドもショットを装備しており、レティクルに向かって突進し格闘を行うシールドバッシュという攻撃も可能。ただし、当然ながらシールドショットやシールドバッシュはブレイク中は使用不可能である。独特な操作による偏差射撃と合わせて攻防共に頼りになるシールドの活用が、この作品を攻略する上で極めて重要となる。

 ここまでのシステムは前作と同じ。今作で追加された要素として、バフスペル、CoIF(Circle of Improved Flight)、アイテムの3つが挙げられる。
 バフスペルは自機の能力の底上げや特殊効果の付与で、STR、AGI、INTから選択。後述のアイテムを集めることでさらに強化される。
 CoIFはダッシュを長押しすることで高速移動を継続的に行うもの。その代わり、大量のマジックを消費し、旋回能力も低下する。また、アイテムを引き寄せるという副次的な効果が実は非常に重要。
 アイテムは今作の探索の真の目的である財宝やマジックアイテムなどで、敵や宝箱を破壊することで出現する。そして、アイテムを12種類以上集めた時点で持ち帰りに便利な状態にするべく圧縮を行うアイテム圧縮モードに突入。圧縮されたアイテムはスコアに変換され、圧縮モード終了時に圧縮したアイテム数に見合ったスコアとバフスペルのへの経験値が入る。ここで、圧縮モード中は無敵だが、攻撃を受けると手持ちのアイテムがいくつか強制的に使用されてしまい、その分のスコアや経験値は入らなくなる。とはいえ、使用したアイテムによっては体力回復やマジックアイテムの装備による恒常的な強化(バフスペルほどではないが)、財宝など独自の効果が無いものでもシールドやマジック、体力の一時的な増加であるミラーバイタリティといった効果が得られるので、決して損なことばかりではない。とはいえ、アイテム圧縮で入るスコアは今作のスコアの大半を占めるので、スコア狙いであればできるだけ多くのアイテムを圧縮する必要がある。なお、アイテム圧縮モードに入った途端、戦域に存在する全ての敵が自機目掛けて誘導ミサイルを大量に撃ってくる。やはり楽には持ち帰らせてはくれないわけである。
 これらの要素はアイテムを主体として互いに関わりがあるとおり、アイテムが今作の新たな特長の1つとなっている。

 独特の操作系は前作で把握済みであるため、今作はその辺りはすんなりと。フライトSTG並みに自由度の高い空中戦と、360度全方位に対する攻撃や回避の妙といった2D全方位STGの特長を兼ね備えた内容は健在。高速で移動しながら敵を偏差射撃で次々と撃墜していく独自の面白さもしっかりと堪能でき、先ずはこのシステムの完成度の高さを再認識した次第。今作ではCoIFの導入で長距離の移動にダッシュ連打をしなくても済むようになり、操作が快適になるような改良も見受けられた。
 その上で、今作で追加されたアイテム要素がこれまたプレイヤーの意欲を存分に刺激してくれるものとなっている。アイテム圧縮を完遂したときに入るスコアが桁違いなのもさることながら、やはり圧縮モード中に大量に襲い掛かる誘導ミサイルとの丁々発止のやり取りが、被弾したらアイテムを失うという緊張感と相まって実に刺激的。さらに、誘導ミサイルを射撃で破壊するとアイテムが出現して更なるアイテム入手の機会ともなるため、追いかけてくる誘導ミサイルにレティクルで狙いを定めて撃ち落すという、これまた熱い技巧も要求される。この誘導ミサイルを撃ち落すという選択肢は前作ではあまり必要とされなかったが(シールドバッシュを前方に出してそれに誘導ミサイルを当てるのが主だった対処)、アイテムという要素の導入で今作では一躍重要となった。このおかげで、ミサイルへの対処が前作と大きく異なっており、システムの醍醐味を維持しつつも新鮮味を打ち出せたことは注目に値する。また、ややもすれば戦闘よりもアイテム収集が操作の主体になりそうなところを、CoIFでアイテムを自動回収できるようにして空中戦が途切れることを抑えている点も好印象。そして、被弾してもアイテム使用で自機の性能が強化され、被弾してもしなくても結果的に有利になるところは実に上手い調整であると感じた次第。このシステムで被弾が損失のみであれば、恐らく結構な鬱憤が溜まることになったと思われる。
 ミサイルを撃ち落すには連射が効く方が有利なので、バフスペルは必然的に弾数が増えるINTで、武器も単発高威力よりも連射が効く方を選択することとなった。ただ、アカガネさんは熱量管理の問題でINTの恩恵を受けられず、他の2キャラよりも誘導ミサイルを撃ち落とすことが難しくてスコアも伸ばせなかった。他の2キャラがリロードが必要とはいえ弾撃ち放題なのに対してアカガネさんだけ熱量管理が必要で、かつ言われるほど攻撃力も高くないという、なんとも不憫なキャラになってしまったのは、活躍を期待していただけにちょっと残念。メレーやシールドバッシュがあるとはいえ、熱量が下がるまで攻撃の大半を封じられるというのはやはり進行を妨げられるような感じがしてしまう。まあ、今回はリオンとリゼが似たようなプレイ内容になってしまったので、差異のあるキャラの存在という点では重要ではあるが。
 操作に慣れたというのもあるかもしれないが、前作よりも誘導ミサイルの追撃が緩くなり、実際に最高難易度のREGULUSも、難易度調整の放棄と表記されていた割には前作のHARDに比べると易しかった気がする。とはいえ、圧縮モード中に前作並みの追撃をされたら難易度の上昇度合いが半端でなくなるので、今作に合わせた調整と認識している。前作のあの容赦ない追撃もまた良かったのだが、今回は物量作戦を強化したという方向性であろうかと。

 面構成は前作に比べて大きな進歩が見受けられた。2面までは前作と同じような展開だったが、3面は艦砲射撃を回避しつつの戦闘、4面は囮の護衛、5面は巨大戦艦との一騎討ちから間髪入れずに人型の敵2体との激戦、6面は追撃戦と、多岐に渡った内容は緩急もあって展開を大いに盛り上げてくれる。最終面の高速で落下するラスボスを追撃しながらメレーでざくざくと切り刻み、邪魔な誘導ミサイルはシールドで一掃という熱い展開に、初見時には思わず感嘆の声を上げてしまったほど。
 とはいえ、ラスボスとの戦闘は正直前作の方が追撃で気を抜くと即置いていかれる上に時間制限もあって燃えるものがあった。あれは演出も含めて完成度が高すぎたが、それでも今作は接近→攻撃を叩き込む→離脱の繰り返しであっさり倒せてしまい、前作に比べるとやはり淡白な印象は否めない。

 演出といえば、今作も楽曲の選曲が実に見事。全てフリー素材のようであるが、各面各場面ともそれを感じさせないほどの調和振りを見せている。特に1面の曲が秀逸で、どこかおどけた感じすらする緊張感の無い曲調は、一癖や二癖もある主人公達がこの先引き起こす騒動がただ事では済まないことを予感させるものがあり、掴みとしてはこの上ない適任である。あとは6面。艦砲射撃を避けながら大型艦を追撃、撃破するという高密度の展開を、緊迫感溢れる曲が大いに盛り上げてくれて心拍数も上昇する勢いである。
 その騒動だが、成仏できないでいる皇帝を救うためにその子孫の巫女が代償として莫大な「退職金」を稼ぐ羽目になり、その皇帝本人(巫女は知らなかったようだが)と一緒にサルガッソー海で秘密裏に稼いでいたというのが事の真相。失踪した豪華客船は、乗客を助けた後に低級霊を憑かせて倒して稼ぐためのいわば養殖場として拝借したようである。しかし、実際に皇帝が開放されてみると、その配下にあった軍団の霊は次の皇帝を求めて巫女にとり憑く事態に。これがタイトルの「ExMonarch」の由来かと思われる。それにしても、ゲーム中ではヒロイン的立場の巫女のコロナよりも、おっさんである皇帝の方が何倍も存在感があったような。
 おまけテキストを読んでみると、今作もゲームからアニメから小説から様々な作品から影響を受けているようで。やりたいことを詰め込んで、かつしっかりとまとめあげている手腕は相変わらず見事で、受ける側も胸がすく思い。

 完成度の高いシステムにアイテムという新しい要素が効果的に作用して、前作の魅力をしっかり引き継ぎつつも今作ならではの特長もはっきりと打ち出せており、新鮮味を感じながらプレイすることができた。前作の荒削りさが生み出す魅力が鳴りを潜めたところも若干感じられたものの、続編としても単体としても大いに楽しませてもらえた作品である。現在、第三弾を製作中とのことだが、今作の完成度をもってすれば十分に期待できるものであり、完成が待ち遠しい限りである。


氷室 万寿 |MAIL
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