雪さんすきすき日記
リサイクル戦術シミュレーション『リサイクルプリンセス』 倒れてもその場で復活するリサイクルSLG。全力で応援中!
DiaryINDEXpastwill
「ときのあくま」攻略はこちら  「東方戰騎譚」エキスパート攻略はこちら  考察のようなものはこちら
自己紹介はこちら  リプレイはこちら  動画はこちら(完成版体験版)  Twitterはこちら


2007年05月25日(金) 続・例大祭のこと

 昨日に続き、今日も例大祭新刊の感想。といっても、今日は1冊だけ。

「東方夢時雨」(猫が九匹!
 「東方花映塚」の異変から60年後、幻想郷は再び外の世界からの霊で溢れかえっていた。しかし、今回の異変はそれだけでは収まらなかった。あまりにも強大な外の世界の厄災が博霊大結界を突き抜け、幻想郷にまでその被害が及ぼうとしていたのである。この非常事態に幻想郷の守護者として立ち向かう霊夢。そして、非常事態の最中にも関わらず霊夢に弾幕ごっこを挑む魔理沙。果たして魔理沙の真意は?
 また、時を同じくして幻想郷の各地では主を、人間を、そして幻想郷を守るべく各々がそれぞれの想いを胸中に抱き動き出す。

 昨年の例大祭で発行された導入編「東方夢時雨〜初夜〜」の完全版。導入編の時点ではここまでの大作になるとは想像も付かなかった。
 あわや幻想郷壊滅かという大惨事の中で弾幕ごっこを楽しむ霊夢と魔理沙を始め、昔の罪と再び対峙する鈴仙、非力な人間を守るべく尽力する慧音と妹紅、紅魔館の盾として主を守る美鈴、昔に思いを馳せるレミリア嬢と、多様な物語が収められているのだが、その各々が躍動感溢れる描写で描かれており、読んでいる最中の臨場感と高揚感はまるでその場に居合わせているような錯覚を覚えるほど。
 また、それらの物語に共通するのが時の経過であり、人として、また妖怪として年を重ねたそれぞれの変化と刻んできた時間の重さが描かれている。それは、美鈴やレミリア嬢のように物語の主題として描かれることもあれば、鈴仙や妹紅のように何気ない一言に表れていることもあるのだが、いずれにおいてもその重さは十分に推し量ることができる。
 この作品では霊夢と魔理沙の決着やその後の魔理沙の事について、明確な結末は述べられていない。しかし、幻想郷としてはこの上無い結末が用意されており、読後の充実感も十二分に味わえた。

 というわけで、今回の例大祭の新刊の中では一押しの作品。上にも書いたが、読んでいるときの臨場感と高揚感は相当なものである。また、幻想郷における死や老いといった題材を敬遠してきた私を納得させた完成度であり、この作品に出会えた幸運を有り難く思う次第である。毎度のことであるが、是非とも多くの人に読んでもらいたい。
 あと、美鈴の扱いが非常に良いので、そういうのを期待している人は必見(笑)。冗談抜きで主役級に格好良いです。

 う〜む、やはり面白さを人に伝えるのは難しい。この文章でも伝えたいことの半分も伝えられないと思うが、感情のままに書き連ねても文章が破綻するだけであるし…。しかし、「鳳凰天翔!」の時のように書かないという最悪の事態だけは回避した。二度と同じ轍は踏むものか。


氷室 万寿 |MAIL
DiaryINDEXpastwill