パラダイムチェンジ

2007年01月09日(火) 浅草新春歌舞伎

日曜日、浅草に新春歌舞伎を見に行ってきた。
中村勘太郎、七之助、獅童などの、若手中心に行なわれる歌舞伎の舞台
である。
若手という事もあって、料金も8500円〜2000円と、お手ごろなのもいい感じで。

という事で今回は2等5000円のチケットを手に入れられたので、新春の
おめでたい気分を味わうつもりで行ってきたわけですね。
浅草自体も、賑やかだけど、死ぬほど混雑しているって事もなくて、
ゆっくり仲見世あたりを見物しつつ、会場の浅草公会堂へ。

歌舞伎の芝居見物といえば、やはりお弁当である。
本当は、お弁当を食べるのを我慢して、後で浅草の美味しそうなお店の
どこかに入ろうと思ったんだけど、幕間の空腹には勝てず。
結果的には、その後浅草近辺をぶらついたら、お目当てのお店はお昼を
過ぎていたのにも関わらずどこも行列ができていたので正解だったよう
な。

で、私が見た演目は、「義経千本桜」の「すし屋」と、「身替座禅」
「すし屋」については、ALL Aboutでの、今回の出演者の片岡愛之助の
インタビュー
に詳しいので、興味のある方はそちらを参考にして頂くと
して。
個人的な印象でいうと、最初は落語みたいな話かと思っていたら、最後
は泣ける人情話になっていったのがさすがだな、という感じで。

つまり、話の中にくすぐりというか、笑いが散りばめられているだけで
なく、途中はミステリーの様にハラハラドキドキさせられ、最後には、
あ、そうだったのか、と納得すると同時に、人情話になっているという
風に中身が詰まっている感じなのが、現代でも通用するエンターテイン
メントになっているなあ、と思うのだ。

韓流ドラマの複雑なあらすじを、百年以上前にもうすでにやっていた
感じに、近いかもしれない。

もう一つの「身替座禅」の方は、それこそ落語というか、狂言っぽく
素直に笑えるお話で。
お殿様が、奥さんの目を盗んで一晩だけ浮気をしようと、家来の太郎
冠者に自分の身代わりに座禅をするように命じるんだけど、その事が
奥さんにばれてしまい、太郎冠者の代わりに身代わりに扮した奥さんの
前で、いかに浮気が楽しかったかを披露してしまう、という踊りで。

その奥さんの方を女形として中村獅童が演じていて、そのガタイの
大きさと、その旦那ってお前の事やんけ、という洒落っ気も含めて、
笑いの絶えない舞台になっていて。

でも、そのたくましい感じのする獅童の奥さんに対して、勘太郎と
七之助がちょっとおっちょこちょいで頼りない殿様と太郎冠者を演じて
いるのが、ぴったりはまっている感じなのだ。


でね、そういう物語の筋自体の面白さもあるとは思うんだけど、それ
よりも私の目を引きつけたのは、彼らの立ち居振る舞いの方なのだ。

何気ない、玄関で履物を脱ぐ姿でも、優男と立ち役の人では、全く
違うし、段差の上がり方や、本当は軽い水桶を、重く持ち上げる時は
(当たり前かもしれないけれど)重く見える。

それって、200年以上続く歌舞伎の歴史の中でつちかわれた、「型」なん
だと思うんだけど、でも、その型を表現できる役者の肉体がなければ
できないことだと思うんだよね。

すなわち、歌舞伎と言うと、つい伝統的で古臭いと思ってしまうかも
しれないんだけど、その彼らが小さい頃から身に染み込ませた、立ち居
振る舞いの一つ一つは、とても綺麗で洗練されていて、つい見とれて
しまうのである。

だから女性で歌舞伎にハマった人が着物にもハマるのも、ちょっと
わかる気がする。
彼らの動きを見ていると、和服を着るのも格好いいなあ、と思うのだ。

そんな風に、現代に生きる私たちがもうすでに失ってしまった、日本の
着物を着ることの格好良さ、凛々しさを感じられるだけでも、歌舞伎を
観る価値ってあると思うんだよね。

また来年の新春、チケットが取れたら浅草に来たいと思います。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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