パラダイムチェンジ

2005年12月11日(日) サイン会行脚の旅

日曜日、古田選手のサイン会に行った後、もう一件、内田樹×精神科医
春日武彦のトーク&サイン会。に行ってきた。
「健全な肉体に狂気は宿る」という本の販促を兼ねたトークショーである。

今回のトークテーマは「自分探しはやめよう」だったんだけど、ご本人たち
が述べていたようにそれは本を読めば分かる、ということでトークテーマ
は、色々とあっちこっちへと動いていったのであった。

内容の一部については、ウチダ先生のブログに載っているので、
興味のある方は、そちらを参考にしていただいて。

全体的な流れとしては、最近の現象について、ウチダ先生が気になった
事を、精神科医のカスガ先生がどう思うかについて聞いていく、という
感じであった。

で、ウチダ先生としては、今後日本の社会が階層化していくこと、
また、例えば改憲運動によって、戦争を外交の一手段にしようという
流れがある事に対して、その想像力の欠如や、コミュニケーションの
不全状態を嘆いているようだった。


最近、内田樹や、橋本治、そして糸井重里の本や話を聞いていて思うのは
その団塊の世代の人たちの、美意識の問題?である。

個人的には、あまり世代論というくくりは好きではないし、例えば団塊の
世代のほかの人たちは全く違う意見を持っているとも思うのだが、彼らに
共通して言えるのは、「今後の日本は果たしてこのままでいいのか(いや、
よくない)」という危機意識のような気がする。

今まで、自分達が大切にしてきた価値観みたいなものが、これからの日本
からはなくなってしまうんじゃないか、のような気分が漂っているという
か。

まあ確かに、最近のホリエモンにしろ、村上ファンドにせよ、今の日本の
趨勢は、古い価値観は壊して、生き馬の目を射ぬけ、というか、グレー
ゾーンというか、曖昧なゾーンがどんどんなくなっていってるし、それ
より若い世代は、何を考えているのか分からないようにも(メディア的に
は)見える。

個人的には、その美意識というか、価値観に共感するんだけど、でも
その一方では、全面的に何もかもが悪くなっている訳でもないんじゃ
ないかな、という気持ちもあったりする。
その辺についてうまくはいえないんだけど、まだまだ一筋の希望みたい
なものはあるんじゃないかな、という気もしていて。

もちろん、彼らも特に糸井重里などは、全面的に悪くなってる、なんて
絶望することからは、ほど遠い人たちであると思っているんだけど。

これが、仕事柄接することの多い、うちの父親世代でもある、70代位に
なってくると、感覚が違ってくるんだよね。
彼らは、敗戦による価値観の大幅な変化、というのを経験しているせいな
のか、この先、日本がどんどん悪くなったって、それが元で死ぬ訳じゃ
ないし、貧乏に戻ったって生きていけるみたいな開き直りが感じられて。

ま、もっともそんなに長生きする訳じゃなくて自分が生きている間がよけ
ればいいや、なんて気持ちも、もしかするとあるのかも知れないけれど。

で、じゃあ、自分と同じ世代になってくるとどうなるのか、といえば
今度はバリバリに仕事している人は忙しすぎて、それどころじゃない、
という感じになってきて。
そんな先のことを悠長に考えられて、(お前は暇で)いいなあ、位の嫌味は
言われてしまいそうである。

社会の階層化とか、下流社会とか、最近はいろんな言われ方をしている
けれど、私の近くの世代に関して言うならば、忙しく働いている人は
忙しすぎるけど、自分の仕事については不満だったり、一方そこから
零れ落ちて自分らしさを求めている人との間では、価値観が微妙にずれて
きている格差みたいなものが一番大きいような気もするのである。

でも自分は今のままだと下手するとキリギリスの生活だしなあ。
その辺、もう少し真剣に考えていった方がいいのかも。いやマジで。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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