パラダイムチェンジ

2005年12月10日(土) 舞台「白夜行」

金曜日の夜、友人に誘われて演劇を見に行ってきた。
見てきたのはStudio Lifeの「白夜行・第2部」
もともと、自分が見に行く予定は全然なかったんだけど、友人が関係して
いる劇団の公演で、チケットが1枚急に余ってしまったために誘われて。
その友人に会うのも久しぶりだし、いいかと思い、行ってみる。

その劇団が、女性の役も含めて全員男性が演じている、という事と、
今回の舞台が第2部だということは事前に聞いていたんだけど、「白夜行」
が、東野圭吾の「白夜行」だとは予想していなくて。

ミステリーというか、サスペンスを途中から見てしまうのってどうなのよ
とか、原作読んでないのに、ネタバレかよ、とか、そういやこの話って
来年1月からドラマになるんじゃなかったっけ?とか、開演のベルが鳴る
直前に思考がグルグルと回転したんだけど、実際に劇が始まってしまうと
思いのほか面白くて。

2部構成で3時間超の舞台なんだけど、飽きずに最後まで見ることができ
ました。
演出・構成も上手かったと思います。

物語の内容に関しては、途中から見た人間がアレコレ言える資格はないし
ドラマや原作本を読んでください、という事で。
この舞台を見た後で、へー、あの主人公2人を山田孝行と綾瀬はるかが
やるんだとしたらどうなるんだろう?と興味を持ったので、見なかった
前半部分を特に楽しみにして、ドラマを観ようかな、と思ってみたり。

で、この舞台に関していうと、女性役も男性が演じる、というのがこの
劇団の特徴らしい、と書いた通りに、この作品のヒロインも、男性が演じ
ている。
日本には歌舞伎の伝統もある通りに、男性が女性を演じるのもそんなに
珍しくはないのかもしれないけれど、実際に見るのは初めてだったので、
どんな感じなのかなあ、と興味をひかれていたわけですね。

で、舞台の冒頭、ヒロイン・雪穂役の人が出てきたときは、本当に男性?
と思うくらいに綺麗な女性が出てきたので驚いたけど、段々とそれにも
慣れてきて。

ただ、今度はこの役を男性が演じるのは、何故だろうというか、女性が
演じたらどうなるんだろう、なんて事を考えながら舞台を見ていた訳だけ
ど、たぶん、女性が演じるともっと生々しくなってしまう事をこの演出家
は嫌っているのかなあ、なんて事を考えていたのである。

友達に聞いたところ、この劇団の演出家は女性らしい。
だからなのかもしれないけれど、男性役の方は、やっぱり女性が見た男性
像っぽいところがあるように思う。
それは例えば、少女マンガ(というか女性の作家が書くマンガ)に出てくる
男性像が、結構女性から見た、理想像になっていたり、その他の人は結構
ステレオタイプに描かれていたりするのと同じように。

もちろん、それは男性が描く、女性像にも同様のものがあると思うんだけ
ど、その辺は私が男性なので、本当の部分では何ともいえなかったりする。
だから、何も女性が描く男性は嘘くさいなんて糾弾するつもりは全くない。

ただ、何と言うかこの演出家さんは、生々しさというのはあまり好きでは
ないのか、もしくは題材自体が生々しいものだから、あえて生々しくない
ような味付けをしたのかな、と思ったのである。

お話自体は、結構重い、というか友人曰く昭和的な話だから、これを大映
的な味付けにもできてしまうんだけど、この舞台では、女主人公雪穂と、
男主人公亮司、そしてそれを追う刑事の笹垣の3人を縦糸に、下品になら
ずに上手くまとめている印象があったし。

救いのない話にもできるのを、男性が女性を演じ、女性演出家が男性を
演出することで、ちょっと人工的な味付けにすることが上手くあっている
ような気がするのだ。
原作がどんな味付けになっているのかは、読んでみないと分からないんだ
けど。
とりあえず、貴重で面白い体験でした。

本当にTVドラマはどんな感じになるんだろう。
「砂の器」みたいな感じになるのかな。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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