パラダイムチェンジ

2005年06月02日(木) クローサー

今回は映画ネタ。見てきたのはクローサー
この映画にもしも私が邦題をつけるとしたら、こうつけるだろう。
「二人の恋が冷めるとき」

ジュードロウ、クライヴオーウェン、ナタリーポートマン、ジュリア
ロバーツ演じる4人の男女が、どのように出会い、恋に落ち、そして
別れていくのか、という物語。

物語の出来としては申し分なく、映像もきれいで、そして冒頭とラスト
に流れる主題歌もいい感じで。
面白い作品でした。まる。

で、終わりたいのは山々なんだけど、個人的にはどうしても書きたい
ことがあって。
ということで以下、ネタバレ風味につき、この作品に興味があって、
これから見るつもり、という方はできれば見た後でご覧になった方が
いいかもしれない。

この映画を一言でいうのなら「イギリス版だめんずウォーカー」で
ある。
個人的には男性役の二人に、あまり魅力を感じなかったんだよね。
なんかダメダメじゃん、って感じで。

ジュードロウ演じる作家のダンは、線の細い、ナイーブで優男な
「ロマンティックバカ」で、ふとした時に見せる表情がセクシーだった
り、女性の母性本能をくすぐるタイプ。ジュードロウの役作りがまた、
うまいんだ、これが。

片やもう一方のクライヴオーウェン演じる医師のラリーは、年がら年中
頭の中がセックスだらけの「性交バカ」
ダンがネカマになって相手をしたHなチャットで、仕事中に妄想を膨らま
せて勝手に興奮していたりする。なんかどっちもどっちである。

でもね、個人的に許せないなあ、と思うのはダンの方かな。
っていうか、自業自得だし、同情の余地ないし。
彼がしっかりしてさえいれば、二人の女性を傷つけることなんて
なかったわけだし。
やっぱり男は女の子を泣かしちゃいかんよね。

例えば、自分に彼女がいて幸せの絶頂なのにも関わらず、そして彼女は
何も悪くはないのにどこか物足りなさを感じている時、魅力的な女性に
出会ってしまったとしたら。

その時に彼女との生活はキープしたままで、浮気したい、もしくはもう
一人の女性とも付き合いたい、という気持ちはわからなくもない(爆)。
ロマンティックな人間ほど、そういう悪魔のささやきに弱かったりする
のかもしれない。

しかしそこには、その彼本人のキャパシティの問題があると思うのだ。
すなわち、その二股交際をまったく相手に悟られないできちんとオペ
レーションできる能力があるのならいざ知らず、そういう能力もなしに
無闇矢鱈と手を出しちゃいかんでしょ。
それを分不相応とか、身の程知らずというんだと思うのだ。

ちなみに私の場合、
そういう能力に欠ける事はとっくに経験済み(爆)なので、それに懲りて
以来、そういう身の程しらずな願望は持たないことにしている。
だって絶対無理だし。

そしてもう一つ許せないことがあり。
もしもあなたの彼女が他人と情事したとして、それを他人から告げられ
たとしたら、そしてその他人はあなたのことを心底憎んでいたとして、
その一方で彼女は今でもあなたの事を愛しているとしたら。
果たしてあなたは、彼女にそのことを確かめるだろうか。

私だったら絶対に確かめないと思う。
人には知らぬが仏、言わぬが花、という言葉もあると思うし。

たとえそれがどんなに胸張り裂けるような事実だったとしても、彼女と
この先も一緒にいたいと思うのであれば、そのことは括弧に入れて、
心の奥底にしまいこみ、おくびにも出さずに墓場まで持っていくだろう
と思う。
そんな事くらいさえ乗り越えられなかったら、その先だって続いては
いかないだろうし。

私はもともと、あまりヤキモチを焼くタイプではない。
たとえ相手にどんな秘密があったとしても、自分と一緒にいる時に
楽しんでいてくれさえすれば、それでいいや、と思うタイプである。

だからなのかもしれないけれど、私にはこの映画に登場する男性の
独占欲?の強さが滑稽に見えるのだ。
それだけ独占欲を持つのなら、もっとキャパシティを持てよと思うし、
大体その前に、真実を聞いた所で、到底受け止められそうもなさそう
だし。

そもそも赤の他人より、彼女のいうことを(それがたとえ嘘であっても)
信じてやれよ、と思うのだ。
だって彼女が嘘をついているのは、自分との関係を長続きさせたいと
思っているからなのだし。

だからなんか、ケツの青いお子ちゃまなんじゃねえの?とダンを見てい
ると思ってしまうのである。

それに引き換え、ナタリーポートマン演じるアリスの健気なことと
いったら。
この映画で一番の救いは彼女の存在なのかもしれない。

自分の彼氏の目線が他人へと向き、自分は傷ついてもひたむきに自分の
気持ちに素直に生きようとする姿を見ると、思わずギュッと抱きしめた
くなったり。
どうか、次にはいい男にめぐり合ってほしいものである。

でもこの映画、内容の身もフタもなさから、カップルでは見に行かない
方がいい映画とも言われているらしいんだけど、その一方では、
いわゆる負け犬層(30代、独身の方々)にも「結局男ってダメよねー」
という口実を与えている気もするのである。

そんなことないっすよ、世の中にはもっといい男もいっぱいいるよ、
と思いつつ、個人的にはこれを反面教師にして、もっと自分を磨きたい
な、と思う所存である。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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