パラダイムチェンジ

2003年06月09日(月) 「8Mile」

さて、今日のネタは白人ラッパー、エミネム主演の映画 「8Mile」
見に行ったのは池袋シネサンシャインのレイトショー。

とりあえず、普段はあまり映画館では会わないような、Bボーイ?というか、ヒップホッパー?の人たちが、大勢見に来ているこの映画。
いや、なかなか不思議な気分での鑑賞。

さて「8Mile」、いつもどおり一言で言うと、心臓をギュッと掴まれる感じのするいい映画、だった。


エミネム扮する主人公、ジミーは、ラップと不況の街、デトロイトに住んでいる。
タイトルの「8Mile」とは、デトロイトの中心を走る道路の名前。
8マイル通りをはさんで、リッチ層と貧困層、白人と黒人の居住地が
別れる境界線。

ジミーはそんなデトロイトの町で、妊娠した彼女と別れて、母親と幼い
妹の住むトレーラーハウスに出戻る。

トレーラーハウスでは、母親が自分の母校の先輩を引きずり込んでSEX中。
母親に誕生日プレゼントだと言ってもらった中古車は故障中。
働き出したプレス工場では、厳しい上司に目をつけられる散々な毎日。

ジミーは白人でありながら、ドゥープな(最高な)才能を持つラッパー。
黒人の理解のある仲間たちとつるんで、いつか有名になって大金稼いで、
こんな最低な毎日からはおさらばするぜといいながら、だらだらと過ごす
退屈な毎日。

ジミーはフリースタイルのラッパー。
黒人たちであふれるクラブで、黒人相手にラップバトルに出ては見るけど、
相手の口からあふれる言葉は、白人差別の言葉ばっかり。
反吐が出るほどあふれる緊張。
なかなか出ない自分の熱情。

夢はいつになったらかなうのか。それともここで終わるのか。
果たして俺は負け犬なのか。どうしたらここから抜け出せるのか。


とりあえず、映画全編を通して、お下品な言葉のラッシュ。
ラップバトルは、昔、TV番組「ロンドンハーツ」で元彼元カノ同士が
お互いにマイク握って罵り合っていたやつのラップ版みたいな感じかも。
いや、もちろんこっちの方が本家?だと思うけど。

リズムに乗せて、アドリブで相手をののしり、自分のリリックの才能を
見せつけるか、相手に何も言わせなくすれば勝ちのバトル。
お下品な言葉を短いリズムにうまく乗せると、観客たちが皆よろこび、
どんどんヒートアップしていく。

これって英語がもっとわかれば、内容的にもっと楽しめるんだろうなあ。
個人的には、韻を踏んでいるかどうかしかわからなかったっす。
でもやっぱり?映画館を出るときは、仁侠映画の健さん気分ではない
けれど、気分的には、なんちゃってラッパー気分になってたり。


この映画はエミネムの半自伝的映画と言われていて、彼の人生そのまま
ではないにせよ、彼のバックグラウンドがよくわかる内容になっている
らしい。

これがスクリーンデビューのエミネムのラップの才能も凄いと思うけど、
彼の目の力も凄いと思う。
そこに佇んでいるだけで、やっぱり存在感があると思うのだ。

そして、周りのキャストたちも結構いい。
母親役のキムベイジンガーや、仲間のフューチャー役の役者もよかった
けど、個人的にヒロイン役のブリタニ−マーフィーがよかったと思う。

あの目と唇で「あなたは成功する予感がするの」なんて見つめられながら
言われたら、そりゃ男はもう、頑張るしかないでしょう。
少なくともこの映画の主人公ジミーは、あの子に会って、初めて変われ
たんだと思う。


この映画を通じて感じたのは、「夢は見るものじゃない。夢を見ている
限り、ぬるま湯のような状態の中にいるかぎり、このヒリヒリとした
現実は何も変わらない」という事かもしれない。

夢は別にあきらめなくたっていい。ただ夢をかなえるためには、
このどうしようもない現実と戦い、自分でやっていくしかない。
チャンスは一度だけ。チャンスを手にする機会を見逃すな。


いや、マジでよかったっす。もう一度見に行ってしまうかも。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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