パラダイムチェンジ

2003年05月15日(木) テキト−でいいかげん

さて、私のことを知っている人はよくわかっているかもしれないが、
私はかなりアバウトな人間であり、適当でいい加減である。

なんて書くと、かなりだらしない人間のような印象を与えるかも
しれない。いや、実際そうだとは思うんだけど。
でも、個人的には適当でいい加減にし続けるのって結構大変なことだと
思うのだ。

ここで、一応「適当」と「いい加減」を広辞苑で引いてみる。

【適当】
1.ある状態や目的などにほどよくあてはまること
「適当な広さ」

2.その場に合わせて要領よくやること。いい加減
「適当にあしらう」

【いい加減】
1.よい程合い。適当。ほどほど。

2.条理を尽くさないこと。徹底しないこと。深く考えず無責任なこと。

3.相当。だいぶん、かなり「いい加減いやになる」



さて、私は一体、どの意味の「適当」で「いい加減」なんだろうか。
この辺はもしかすると、私と周囲とでは意見がちょっと食い違っている
可能性もあるけれど。

さて、「適当」と「いい加減」に関しては、こんな文章もある。
平尾誠二と松岡正剛のラグビーに関する対談本「イメージとマネージ」
からの引用文。


平尾 ぼくの判断というのは、ものすごく感覚的なものなんですよ。湯
   加減みたいなものなので、熱いか冷たいか個人差があるわけです
   よ。だから、ぼくがそのつど、口酸っぱく言ってわかってもらう
   しかなかった。

松岡 湯加減?いいなあ。そのとおりです。なんといっても体で測る湯
   加減がいい(笑)。温度計で測っちゃいけない。それでは「いい加
   減」の境地は生まれない。

平尾 そうですね。「平尾の感覚」をおぼえてもらうしかないわけです
   よ。それを意識してもらって、注意深くなっていくということで
   す。マニュアルどおりにいくわけないんです。

松岡 キャプテンがイメージすることを、メンバーがマネージするという
   ことですね。
 
   ちょっと余談になるけれど、ぼくは「加減」と「結構」という言
   葉が大好きでね。「湯加減どうですか」「ええ加減ですわ」とい
   う意味もあるし、逆に「ええ加減なやっちゃ」という意味にもな
   る(笑)。その両方の意味を瞬時に判断するのがコミュニケーショ
   ンの真骨頂でしょう。「結構ですね」というのと、「もう結構」
   というのも同じですね。「結構!」と言われた瞬間に、そのどち
   らかを判断できるようなコミュニケーションが大事なんですね。
   ぼくはこれらの言葉をトワイライト・カテゴリーと名づけている
   んですが、その感覚はかなり重要です。

平尾 ぼくの場合は、ほんとにいい加減な人間なんです(笑)。

松岡 それがいいんです。加減のプロこそ、ほんとうのプロフェッショ
   ナルですよ。いわゆる按配(塩梅)、塩加減ですね。料理の鉄人
   もそれに勝負を賭けているわけですし、ぼくの仕事も結局は「加
   減」と「結構」をつくっていくことなんです。いいかえれば「具
   合」です。もっといいますとね、仕事でいちばん重要なのは「場
   合」と「具合」をどうつくるかということなんです。

平尾 なるほど、それはそうですね。

松岡 「場合」というのは場が出合うということ、「具合」はいろいろ
   なシナリオが交差するところです。

平尾 それはええこと聞きました。

松岡 そういう感覚にはマニュアルとかレシピとかは役に立たない。繰
   り返し、同じものをつくったり売ったりするのなら、それでいいん
   ですけどね。ハンバーガーショップとか。

平尾 ゲームメイクにはマニュアルはかえって邪魔ですね。たとえば、
   「今日のゲームのテンポは遅かった」と反省で言っても、それが
   「そうだな」とわからなきゃいけないわけです。実際に昨日のゲ
   ームのA君の走力の速度と今日の速度とを測定して言っているわ
   けじゃない。0.3秒遅いとか速いというのではなく、「とにか
   く遅いんや」ということ。そうやって言い続けると、だんだん幅
   が縮まって、そのうちにいい加減がわかってくる(笑)。

松岡 それって、ほんとうは「文化」なんですよ。

平尾 ええ、そうなんです。ゲームメイクは文化をつくることなんです。



この引用文中にあるように、同じ言葉なのに、相反する二つの意味が
あるところに、「いい加減」と「適当」の面白さがあると思う。

でも、もともとの意味で言えば、「適当」とは「的に当たっているさま」
を表しているはずであるし、「いい加減」に関しても「好い加減」、
すなわちいい塩加減であったり、いい湯加減を指している言葉だと思う。

だから「いい加減にしなさい」とは、「あなたの裁量でいい加減に調節
しなさい」という意味であると思うし、「その仕事適当にやっといて」
とは、「その仕事をいちいち指示しないでも要求を満たしといてね」と
いう意味であると思うのだ。

だから、本当の意味でいい加減にするには、その塩梅の調節を、細心の
注意を払わなければ、できないことかもしれない。
こんなこと、本当にいい加減で適当だったらできないだろう。
うーん、日本語は難しい。

その上であえて言えば考えてみる。
いい加減と適当の反対語ってどんな言葉だろう。

それはおそらく、広辞苑にあったとおり、「徹底した」とかそんな感じ
なんじゃないのかな。
でも、何かを「徹底して」突き詰めてしまうよりは、ちょっとだけでも
遊びの部分を残しておくというか、腹八分目の方がやはり自分の性には
あっているような気もするわけで。

それが果たしてB型という血液型のせいなのかどうかは別として、私は
今後も「適当」で「いい加減」をモットーにしていきたいと思うのだ。


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