パラダイムチェンジ

2003年02月28日(金) 小さな事からコツコツと

さて、早いもので今年もはや3月となってしまった。
仕事がそこそこ忙しかったせいもあるけれど、2月はなんかあっという
間に過ぎていったような気がする。
いやー、一体何をしていたことやら。

今年の初めに、一年の抱負なんぞを書いてはみたが、今年も半ば近くに
なると、別の野望?なんていうのもわいてきたりもする。
まあ、これは今年に限らず、自分の人生の野望?なのかもしれないが。

さて、私の人生の野望。
それは今年こそ、小さなことをコツコツとやる、という野望である。

何を当たり前のことを、なんて思われるかもしれないけれど、
小さなことをコツコツとやるのって、結構難しかったりするのだ。
なぜなら、私はとても飽きっぽい性格だから。

でもね。なんでそんな飽きっぽさを自認する私がことさらに小さなこと
からコツコツと何かを始めようと思ったのか。
その根拠は、やはりこの本を読んだことがきっかけだったのである。


糸井 ここではわかりやすいように、仮に、単なる暗記(意味記憶)を
   「暗記メモリー」と呼んで、自分で試してはじめてわかることで
   生まれたノウハウのような記憶(方法記憶)を「経験メモリー」と
   呼んでいいですか?

池谷  いいですよ。そのふたつで言うと、ぼくは「暗記メモリー」より
   も「経験メモリー」の方を重視しています。三十代から頭のはたら
   きがよくなるとぼくが言っているのも、「脳が経験メモリー同士の
   似た点を探すと、『つながりの発見』が起こって、急に爆発的に頭
   のはたらきがよくなっていく」ということだと捉えているからなの
   です。

糸井  そうだとすると、野球のバッターの打ち方や、困った時の対処法
   だとか、アイデアの生み出し方とか、文字だけでは伝えにくいもの
   も経験メモリーですね。実際にトライした人には、確かに深く記憶
   として残るでしょう。

池谷  ええ、やった人にしか、残らないです。

糸井  その経験メモリーの蓄積が三〇歳を超えると爆発的になるという
   のは、数字で言うとどのくらいですか?

池谷  最初のチカラを一としますと、べき乗(たとえば二の何乗)で成
   長していきます。(略)
    
    一の次は二。二の次は四。四の次は八。八の次は十六…。
    
    十六のチカラの時には、1000なんて絶対に到達できない
   ように見える。しかし、そこから六回くりかえせばできてしまう
   んです。二の十乗は、1024ですから。

糸井  すごい差だね。四回目で十六なのに、10回目で1024。

池谷  そのままあきらめずにくりかえしていると、二の二〇乗まで行っ
   たとしますよね。

    10回目で1024だったチカラは、二〇回目には、いくつに
   なっていると思いますか?

    …1048576。100万を超えています。

糸井  うわぁ!

池谷  凡人と天才の差よりも、天才どうしの差のほうがずっと大きいと
   いうのは、こうやって方法を学んでいく学び方の進行が「べき乗」
   で起こり、やればやるほど飛躍的に経験メモリーのつながり方が
   緊密になっていくからなのですよ。

糸井  いやぁ、それはかっこいい。

    16の人は1024の人を天才だと思うだろうけど、1024の
   人が10回やっているところをもう10回増やしている人は100
   万かぁ。

池谷  脳で起こる反応は、直線グラフでは表されないのです。

糸井 「ひとつのことを毎日、10年くらいくりかえしさえすれば、才能
   があろうがなかろうがモノになる」という言葉があるけど、やっぱ
   りそれは正しい。

池谷  脳の組み合わせ能力の発展のすごさを考えると、10年やり続け
   れば、経験メモリーどうしの組み合わせは能力を飛躍的に増すでし
   ょう。

糸井  目指す位置が遠く見えても「ほんとは遠くはないんだ」と思って
   いたほうがいいくらいですね。

池谷  ええ。案外近いんです。脳の組み合わせ能力というのは自分の予
   想以上に発展するので、今現在自分より上の人をことさらすごいと
   思う必要もありません。

糸井  バカだと思われるぐらいに楽観的になったほうがいいくらいだ。

    64の時に「もうすぐ1000だ」とか言うヤツは、きっとバカ
   扱いされるでしょう。でも実際は、そのバカの予想がすぐ当たるこ
   とになるんだ……。利口に立ちまわるよりは、ずっと「バカな成長
   予測」をしているほうがいいのでしょう。利口なら、64のあとは
   70だとか刻みそうだけど、それは自分の能力を過小評価すること
   になる。

    バカかもしれないけれども自分の将来の飛躍的成長を夢見る
   ことって、言わば「ストッパーをはずすということ」と一緒に
   思えます。

池谷  ええ。やってみることの経験。続ければいかに身になるかです
   よ。こうしたことは実は、習いごとをしていた人は、本能的に理
   解している種類のものなのでしょうね。(以下略)


「海馬―脳はつかれない―」 糸井重里・池谷裕二著


何かを始めようと思うとき、大体最初のうちって面白くはない。
自分の成長に対して、周りはもっと進んでいるような気がすると、
自分のなけなしのプライドが発動したりして、結局はやめてしまったり。

でも、やめるまでに何かを始めていれば、実はその場所は0ではなく、
2だったり、4だったりするわけだ。
で、4で一切のことをやめてしまえば、その人が8や16の場所で見える
風景って言うのは、決して見ることはできない。
そこからもう少しだけ、前進すれば実はもっといい風景が見えるものなの
かもしれないのに。

これは、実は仕事上でも経験があるのだ。
それは以前、病院でリハビリの仕事をしていた時の話。

一回のリハビリの時間って、実は結構短かったりする。
急性期の患者さんならともかく、慢性期の患者さんだったり、骨折など
整形外科疾患の患者さんの場合、リハビリ技師が直接触れるのは、大体
20分程度。

入院はもちろん、外来で通院する人も、一定期間の間は毎日だったり
週に何回か、リハビリに来るのが一般的な形だろうと思う。

で、例えば脳卒中や脊椎損傷などの重篤な疾患を除けば、実は人間の
機能回復のスピードって、一時曲線ではなく、二次曲線を描くことが
多かったような気がする。

どういうことかと言えば、たとえ、一回あたりリハビリにかける時間が
同じでも、リハビリ開始直後と、しばらく経った後では、その回復の
スピードは、しばらく経った方が断然早いのだ。

個人的な推測で言えば、それはその患者さんの脳と身体のリンクが
より強固になっているので、脳と身体の間の電気信号の交通量がやはり
増えたからなんじゃないかなあ、って思うのだ。

つまりは今までダイアルアップだったのが、ブロードバンドに変わった
おかげで、より容量の大きいものでも送れるようになったというか。


もちろん、その人のモチベーションというか、リハビリに対する取り組み
の姿勢もあるだろうし、元々の怪我の状態によっても左右されると思う
けれど、基本的にその患者さんのモチベーションが高ければ高いほど、
老若男女を問わず、回復のスピードは加速していた気がする。

だからリハビリで言えば、患者さんのやる気を引き出してあげる
リハビリ技師のほうがやはり治療成績っていいような気がするのだ。

最近、コーチングって言葉を耳にすることも増えてきている。
コーチングに関しては、またいつか触れたいと思うが、コーチングで
重要なことも、やはりその人のやる気を引き出してあげることだと思
うし。


んで、冒頭の自分の野望?に戻れば、懇切丁寧に自分のやる気を引き出
してくれる第三者がいるわけではないので、結局は自分でモチベーション
を高くもつ工夫をしなきゃいけないわけだ。

今まではそこでくじけたことも多かった訳だけど、それが自分のやりたい
事であるならば、結局はルビコン川を渡る決心をして渡る以外に方法は
ないわけで。

反対側の川岸を眺めていたからといって、向こうからボートや白馬に
のった王子様がやってくる訳でもないし。

というわけで。
結局は小さなことからコツコツとやるしかない、と今年こそは思うわけ
である。

んで、何をコツコツとやるのか。
英語と料理とダンスとWEB作成と仕事の勉強と…
って、なんか多すぎるんですけど。

まあ、終わりの決まった旅ではなし、地道にやって、まだ見ぬ未知の風景
が見えるようになってきたらいいなあ。
今年の年末には、一体どんな風景が私を待ち受けているんだろうか。


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