| 2006年07月31日(月) |
060731_骨髄移植について(1/5) |
今週は全5回にわたって私がかつて経験した骨髄移植のお話をいたします。 もし読者の皆さんの中で私の経験の時期、場所などをご存じの方がおられても、それらを明らかにする書き込みはどうぞご遠慮ください。
また本内容については、骨髄移植推進財団からの許可も得ている事を申し添えます。
【骨髄移植のお話】 もう時効だと思うのですが、私は過去のある時に骨髄提供者となりました。現代医学の進歩は多くの治療法を生み出し多くの人命を救っていますが、それでもまだ人の骨髄移植でしか治癒が臨めない患者が大勢いてまた発病しているのです。 今回は私が実際に骨髄提供者として経験したことをお伝えして、その事でこの崇高な事業と、それを支える社会についての理解が深まる事を願うものです。
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私は若いときから献血を数多く行っていました。そのことは自分にとってはボランティア精神を満たすと同時に、送り返される血液データによる健康チェックの手段でもありました。骨髄移植については、それまでも献血センターでは宣伝を目にする機会がありましたが、白血病と言われても実感を伴わず、それほど気にも留めずにいたのでした。 それがある時、地域社会に大変お世話になったあるきっかけを経て、その恩返しの意味で骨髄バンクにドナー(提供者という意味)登録をすることにしたのでした。
そもそも「骨髄」とは何かということについてお話ししておきましょう。骨髄とは、骨を輪切りにしたときに固い外側に包まれたスポンジ状の柔らかい造血組織です。
ここには骨髄液の中に造血幹細胞が含まれていて、ここで赤血球、白血球、血小板などの血液細胞が作られて体中に送り込まれています。白血病などに代表される血液のガンはこれらの造血幹細胞に異常が起こり正常な血球を作れなくなる事から様々な障害が起こる病気です。
古くは女優の夏目雅子さんや格闘家のアンディ・フグ選手、最近ではアイドル歌手の本田美奈子さんなど多くの有名人が白血病で亡くなっています。そのことはこの血液の何秒が有名人に限らず、今日ごく日常にありふれていて、いつ自分の身内がなるかも分からない病気なのだということを教えてくれます。
そして、確かに誰にでも起こりうる難病なのだとしても、それは社会の力と骨髄移植という現代医療の力で治療をすることが可能になりつつある病気でもあるのです。
しかし後から述べるように、骨髄移植が成立するためにはドナーと患者の白血球の型が同じでなくてはならないという絶対的な条件があります。患者さんがいくら骨髄移植を希望しても型が合うドナーが現れなければ移植は出来ないのです。幸い日本人はこの白血球の型の合いやすい民族だと言われていていますが、まだすべての患者さんが骨髄移植を受けられる社会環境にはなっていません。
このことについて、2006年7月7日に骨髄移植推進財団は、前月の6月末時点で日本における骨髄バンクのドナー登録者数が25万人に達したことを発表しました。 同財団によると、ドナー登録を開始したのは1992年1月のことですが、それから14年6ヶ月を経て今年6月末にドナー登録者数が25万1,040名となり25万人を超えたのだそうです。そしてこれまでに、延べ7,500人に対して骨髄移植手術が行われているそうです。
しかし読売新聞では、「骨髄移植には移植希望者とドナーのHLA型(白血球の血液型)が一致しなければならず、移植を希望する全ての患者と適合するHLA型のドナーを提供するには30万人の登録が必要とされ、2005年に移植を希望して登録した患者の半数は移植が受けられていない」と報じています。
テレビで「メンバーが足りません」と訴えているのはまさにこのことです。
さて、前述のように骨髄移植のためには一人一人の白血球の型が問題になります。単なる献血による血液製剤の利用であれば赤血球のABOタイプとRhタイプの区別さえ合えば利用出来るのですが、白血球にも同じように型があるのです。
その型の事をHLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)と呼んでいますが、このHLAにはA座、B座、DR座など数種類の型の区分があり、それぞれが数種類から数十種類に分けられていて、全ての組み合わせは数万通りにもなるのです。
しかもこの型はそれぞれ半分ずつを両親から遺伝によって受け継ぐことから二つのタイプが対になっています。従って同じ親からの子供同士であれば四種類の組み合わせがあり得ることから、子供同士であれば四分の一の確立で適合しますが、両親と子供が同じ型になることはあり得ません。親であっても子供を救えないのが血液の難病です。
ドナー登録の仕方は簡単で、献血の時と同じようにドナー登録のための数十ccの血液検査で行われます。血液検査ではこの数種類ある座の中からA座、B座、DR座の3つについて、対になった6種類の抗原を検査して登録しておきます。 ここまでがドナー登録の準備です。
そしてその手紙はある日突然にやってくるのです。(つづく)
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